還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 中編

公開 : 2022.09.03 07:06

英国では唯一だった小さな前輪駆動のワゴン

開発が遅れていた、モーリス1100 トラベラーとオースチン・カントリーマンというステーションワゴンが登場するのは、1966年3月。このクラスの英国車としては唯一となる前輪駆動のワゴンで、英国価格は711.11ポンドとお手頃だった。

車重はサルーンより約18kg重かった。だが、2段階に折り畳めるリアのベンチシートと、大きな荷室を得ることができた。

モーリス1100 トラベラー(1966年式/英国仕様)
モーリス1100 トラベラー(1966年式/英国仕様)

オプションでフロント側もリクライニング・シートにすれば、ダブルベッドのようにフラットな空間を作ることもできた。後のオースチン・マキシやフィアット・パンダに採用されただけでなく、現代のモデルでも重宝がられる機能といえる。

ADO16シリーズの大ファンだと認めるのは、ゴードン・ディフィー氏。「人生の殆どを、1100とともに過ごしてきました。1979年式のMG 1100をベースとした、マゼンダというキットカーも所有しています」

「このモーリス1100 トラベラーを購入したのは4年前。アルニカ・ベージュというピンクがかったボディは美しく、とても個性的だと思います」

「ステーションワゴンだからといって、操縦性はサルーンと殆ど変わりません。実用性の高さが、特に好きなポイントですね。荷室の大きな2シーターのバンにもなりますし、5シーターのままでも、広い荷室が残ります」。とディフィーが説明する。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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