マツダ・サバンナRX-7xポルシェ944 S2 似た見た目・異なる個性 2台のカブリオレ 後編

公開 : 2022.09.11 07:06

剛性を高めたボディ ポルシェに劣らない装備

シャシー側では、マルチリンク式の初期段階といえるサスペンションをリア側に採用。セミトレーリング・アームに数本のリンクを追加し、マツダはダイナミック・トレーシング・サスペンションと名付けている。

その成果として、トーションビーム式サスペンションと比較して穏やかな挙動を獲得していた。アンダーステア傾向で、不満を漏らすドライバーもいたようではある。

マツダ・サバンナRX-7 カブリオレ(FC型/1985〜1992年/英国仕様)
マツダ・サバンナRX-7 カブリオレ(FC型/1985〜1992年/英国仕様)

先進的な可変レシオのステアリングは、1980年代のコンピューター技術には荷が重かったのかもしれない。グリップ力が限界を迎えると不意に軽くなるという感触は、一部で歓迎されなかった。

コンバーチブル・ボディは開発段階から検討されており、生産もマツダで行われている。タルガ風の強固なロールバーと熱線入りリアガラスが組み込まれたソフトトップは、ドライバーが自ら後ろへ倒す必要がある。価格の高いポルシェ944は電動だ。

とはいえ、ヘッドレストにはスピーカーが内蔵され、ウインド・ディフレクターも備わる。装備という点では劣っていない。

ルーフの切除に合わせて、RX-7 カブリオレではエンジンルームとリアシートの裏側、リア・サスペンション・ストラット部分が補強されている。剛性は充分に高く、平滑ではない路面でも安定性は失われにくい。

ドライバーの心を刺激する遊び心

グレートブリテン島の南東部、リーオンシーの桟橋へ2台を並べる。マツダが開発時にポルシェ924や944を意識していたことは、疑いようがない。コンバーチブルになっても、その類似性は否定できない。

ボディキットやBBSのアルミホイール、スモークされたテールライトなどに、ドイツ・ブランドへ挑もうという意気込みを感じる。同時に、ホワイトのオープントップの佇まいには、惹かれずにはいられない。

ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ
ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ

比較すると上品に感じられる944 S2に対し、RX-7のフロントフェンダーはマッシブ。やや平面的なサイド面を、程よく盛り上げている。

プロポーションの整った944のスタイリングに、派手な面処理は不要だとポルシェは考えたのだろう。アルミホイールも退屈なデザインながら、不正解に感じる部分はない。

トランスアクスルでコンバーチブルのポルシェは、すべての人が共感できるものではないかもしれない。とはいえ、実際にステアリングホイールを握ると、慎重に設計が煮詰められた仕上がりに好感を抱く。この2台では、より洗練されたスポーツカーだ。

他方のオープントップのRX-7には、それ以上にドライバーの心を刺激する遊び心が詰まっている。ハイブランドである必要性はないと思わせる。久しぶりに引っ張り出してきたファミコンのようで、歩み寄りたくなる魅力に溢れていた。

協力:マツダ・モータースUK、スティーブン・ボール氏

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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