ジェネシスGV60 詳細データテスト 韓国の高級ブランド 速く快適 四駆のハンドリングは安定志向

公開 : 2022.09.03 20:25  更新 : 2022.09.06 06:29

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

GV60のラインナップにおいて、スポーツ・プラスはもっとも速い最上位グレードだ。しかし、E-GMPプラットフォームが秘めるスポーティさを本当に見極めたいなら、EV6 GTやアイオニック5 Nが必要だというのが、われわれの見解だ。

同時に、2モーターのGV60は、車両重量が2.2t近いことを忘れてはいけない。それを踏まえればよくやっていると思えるが、新たなスタンダードを打ち立てるようなものではない。

前後モーター仕様は、ニュートラルで穏やかなハンドリングバランスに寄与するが、有り余るパワーを持ちながら、後輪は断固として走行ラインを外さない。ステアリングはクイックだが、フィードバックは足りない。
前後モーター仕様は、ニュートラルで穏やかなハンドリングバランスに寄与するが、有り余るパワーを持ちながら、後輪は断固として走行ラインを外さない。ステアリングはクイックだが、フィードバックは足りない。    MAX EDLESTON

ロックトゥロックは2.3回転と、ステアリングはそこそこクイック。手応えは、一貫して自然な重みがある。なんらかのフィードバックが出始める前にグリップ限界を見極める必要はあるが、いまどきのクルマでそれは珍しいことではない。

そうはいっても、レスポンスに多少ぼんやりしたところはある。これについては、それ以外の運動性能的要素がすばらしかったEV6にも同じ傾向が見られた。運転しはじめると、最初は自信を持てないが、すぐに頼もしいグリップがあることに気づく。ステアリングリム越しには感じられなくてもわかるくらいにだ。

モーターは前後ともパワフルで、安全だがどこか満足できないハンドリングバランスを生む。ハードに加速していると多少のトルクステアが見られ、コーナー脱出時にはリアが身悶えするようなこともある。

しかし、少なくともドライ路面では、決してオーバーステアを出すことがない。フロントモーターの存在は小回りに不利で、回転直径は11.9mと、そこそこ大きいクルマ並みの水準だが、EV専用モデルとしては珍しいことではない。

GV60スポーツ・プラスの訴求点は大パワーであり、それを安心して使えることだ。マスタング・マッハE GTがもっと遊び心のある走りを見せるものの、人工的な感じもあるのに対して、このGV60はテスラモデルYと比べてもはるかにナチュラルだ。英国ではまだGV60の後輪駆動モデルを試乗していないが、ドイツでの試乗や、EV6の後輪駆動モデルに乗った経験から推測すると、GV60のエントリーグレードはより麗しいバランスの持ち主なのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ジェネシスの人気画像