フェラーリ初SUV「プロサングエ」は、4ドア4シーターGTに その価値と将来は? スペシャリスト上野和秀が検証

公開 : 2022.09.24 18:45

フェラーリ・プロサングエの価値とは? ナンバーワン・スペシャリストとしてフェラーリを研究してきた上野和秀さんが、話題の新モデルの将来に迫ります。

SUVじゃないんですか?

かねてより予告されていたフェラーリプロサングエが正式発表された。今やどのメーカーも見過ごせないSUVの世界へ、ようやくフェラーリが参入したのである。

そこで、クラシックから最新型までほとんどのフェラーリに接してきた、オールド・フェラーリ・ファンが見たプロサングエ感を記してみることにした……。

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    AUTOCAR

ーーフェラーリから4ドア4シーターGTのプロサングエが登場したーー

詳細についてはすでにレポートされているので、好きものの視点で気になる部分を記してみた。

プロサングエのリリースを見ると「4ドア、4シーター」と称され、典型的な現代 GTモデル(いわゆるクロスオーバーやSUV)と別であると記されていた。

フェラーリとしては流行で造られたSUVとは異なり、これまで培ってきたテクノロジーを注ぎ込んで名に恥じぬクルマを造った、という自負から否定しているといえる。

しかし、見た目は明らかにクロスオーバーSUVで、どう呼ぶかは個々の解釈に委ねられよう。

最高出力725ps、最高速度310km/h、0-100km/h加速は3.3秒、0-200km/h加速が10.6秒と、ちょっと前のスーパースポーツを上回るパフォーマンスを備えるのはさすがだ。

ライバルと較べるとパワーは圧倒的だが、最高速度ではアストン マーティンDBX 707が310km/hで並び、ランボルギーニウルス・ペルフォルマンテが僅差の306km/hで続くという激戦区だ。

引き締まったスタイリング

プロサングエは全長4973mmの巨体ながら、前後オーバーハングの短さによる全体のバランスの良さから、サイズを感じさせない引き締まったスタイリングは評価できる。

とくに前斜めから見ると後ヒンジの観音開き式リアドアを採用したことにより、2ドアに見えるスタイリングを実現。ボクシーなリアフェンダーと相まって、パワフルさを感じさせるフェラーリらしい優れたデザインだ。

短いオーバーハングと力強いリアフェンダーが形づくる、引き締まったデザインは魅力的。
短いオーバーハングと力強いリアフェンダーが形づくる、引き締まったデザインは魅力的。    AUTOCAR

また最低限のキャラクターラインと面で構成されたデザインは、F8や812にあった力みが消えた。新たなトレンドを表現しており、社内チームが勘所をつかんだように思える。

マニアックな目で見ると、250GTOを思わせるリアフェンダーのボリューム感や、エンジンフード後方のアウトレットはF1マシン312T2のカウルにあるインテークを想起させる。

インテリアも近代フェラーリの文法通りだが、そのキャラクターから開放的にデザインされている点は好感が持てる。左右独立したリアシートもフェラーリらしい部分といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。

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