小型クロスオーバーに一新 新型スマート#1 プレミアムへ試乗 271psで439kmのEV

公開 : 2022.10.10 08:25

新しいクロスオーバーEVとして生まれ変わったスマート、#1。ブランド拡大の実力を備えるのか、英国編集部が確認しました。

まったく新しいバッテリーEVクロスオーバー

20世紀末に誕生したスマート・フォーツーは、小さなシティカーとして革新的なモデルだった。だが、コンパクトで斬新なスタイリングをまといながら、商業的に成功したとはいえなかった。

1998年に初代のW450型スマートが発売された時、親会社のダイムラーは、都市がクルマに合わせて設計されると考えていた。しかしそれは実現せず、20年以上にわたって資金的サポートを投じながらも、実際の利益は得られなかったようだ。

スマート#1 プレミアム(欧州仕様)
スマート#1 プレミアム(欧州仕様)

販売台数でいうと、BMWが買収したミニの3分の1程度。そんな状況を変えるべく、新型のスマートは思い切って過去を脱ぎ去った。英国での販売は2023年から始まる予定にある。

メルセデス・ベンツロータスボルボの筆頭株主となっている中国のジーリー・ホールディングスは、傘下にあるダイムラーとの共同事業としてスマートを再設計。まったく新しいバッテリーEV(BEV)のクロスオーバー、#1が誕生した。

#1のデザインを進めたのはメルセデス・ベンツで、ジーリー・ホールディングスが開発したSEAプラットフォームをベースとする。製造は中国・西安市の工場で行われる。当面は既存のEQフォーツーやEQフォーフォーも並行して販売されるという。

このモデル名の呼び方は、ハッシュタグ・ワン。シャープ・ワンではないのでご注意を。

グレードは3種類が用意され、エントリー・グレードがプロ+でミドルがプレミアム。トップグレードはブラバスだ。

小さいボディから想像する以上に広い車内

駆動用モーターはプロ+とプレミアムがシングルモーターで271ps。ブラバスは前後2基のツインモーターとなり、総合での最高出力は428psを誇る。

駆動用バッテリーは、ニッケル・コバルト・マンガンによるNMC系のリチウムイオン。容量は66kWhで、急速充電能力はDCで最大150kWまで。一般的なAC充電器ではプロ+が7.4kW、残る2種は22kWまで対応する。

スマート#1 プレミアム(欧州仕様)
スマート#1 プレミアム(欧州仕様)

航続距離はWLTP値でプロ+が418km、プレミアムが439km。ツインモーターのブラバスでは、399kmが主張される。

#1はスマートとしては過去最大のモデルだが、市場全体で見ればコンパクトな部類に入る。全長は4270mmで、ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)より27mm短い。

スタイリングは過去のスマートに影響を受けたというが、無限ループのようなテールライトの形状はメルセデス・ベンツEQAEQBをイメージさせる。面構成は有機的だ。

小さめのボディサイズから想像する以上に、車内は広い。特に頭上空間には余裕があり、リアシート側にも大きな大人が問題なく座れる。荷室容量は313Lと小さめ。フロントのボンネット内にも15Lの収納がある。

インテリアのデザインはスタイリッシュだし、素材にも高級感がある。エアコンの送風口は金属製で、色が変化するLEDライトが内蔵されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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