ロールス・ロイスに迫る洗練性 BMW i7 xドライブ60へ試乗 新7シリーズにBEV登場 後編

公開 : 2022.11.19 08:26

BMWの新世代フラッグシップ・サルーン、i7が登場。メルセデス・ベンツEQSのライバルの完成度を、英国編集部が確かめました。

「極めて特別」を積極的に用いたい仕上がり

BMW i7のリアシート側で利用できる、インフォテインメント・システムは充実している。シアタースクリーンと呼ばれる装備を選ぶと、天井に31.3インチの8Kモニターが実装される。英国仕様では、アマゾン・プライムやネットフリックスなどを視聴できる。

8Kだから画質は抜群。高音質オーディオで名高い、バウワース&ウィルキンス(B&W)社によるサウンドシステムも、惚れ惚れする音質だった。

BMW i7 xドライブ60(北米仕様)
BMW i7 xドライブ60(北米仕様)

もう1つのオプションとなるエグゼクティブ・ラウンジを選択すれば、助手席を前方に折りたたむことが可能になり、背もたれを深く倒した状態で映画鑑賞できる。リアガラス側のブラインドを閉め、ポップコーンとブランケットを準備してもらえば完璧だ。

ちなみにドアは、グリップ部分のボタンを押すだけで自動的に開く。これもオーナーの心をくすぐる小ワザといえる。

「極めて特別」といった表現は、先代の7シリーズではあまり登場することがなかった。しかし、最新の7代目では積極的に用いたくなる。大きなサルーンを走らせるパワートレインに対しても。これは、BEVのi7でも同様だ。

歴代の7シリーズで特徴といえたのが、ドライバーの好奇心をそそる性格付け。快適性へ強く振ったSクラスとは異なり、3シリーズへ近い操縦性が狙われてきた。その結果、乗り心地に妥協が生じつつ、大柄なボディによって操縦性も輝くほどではなかった。

しかし、新世代はまったく異なる。極めて快適で洗練されたサルーンに躍進している。

ロールス・ロイスに迫る洗練性

先進的な2軸エアサスペンションは、自動的に車高を調整。前後左右個別に空気圧を調整することで負荷を均し、ボディは水平に保たれる。電子制御のアダプティブダンパーは、刻一刻と最適な減衰力に変化する。

これらの技術によって、路面のあらゆる凹凸や不整を見事に吸収。維持管理の悪いアスファルトでも、まったく動じない乗り心地が実現している。6代目7シリーズから、大幅な進化を遂げたといえる。

BMW i7 xドライブ60(北米仕様)
BMW i7 xドライブ60(北米仕様)

新次元の快適性に加えて、電動パワートレインによる滑らかな印象が相乗し、極めて特別な洗練性を叶えている。ロールス・ロイスに迫る、とさえ表現したくなる。

それでいて、大型サルーンのカテゴリーでは、秀でた操縦性を味わえることにも変わりない。全長が5.4m近くあり、車重が2.7tを超えるだけあって、ドライバーとの一体感を伴う刺激的なものではないものの、iX以上の運転する喜びが存在する。

SUVより軽いだけでなく、車高が低く路面との距離が近いことも影響している。スポーツ・モード時に140km/hを超えると、車高はさらに10mmダウンする。後輪操舵システムが搭載され、低速域での機敏さと、高速域での安定性や身軽さを両立させてもいる。

ダイナミック・パッケージで装備される、可変レシオ・ステアリングの重み付けも良好。クルマの反応を予想しやすくしているようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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