クルマに求めるすべてを1台で BMW 330e ツーリング xドライブへ試乗 総合292psのPHEV

公開 : 2022.12.01 08:25

マイナーチェンジを受けたBMW 3シリーズ。PHEVのツーリングの全方位的な完成度を、英国編集部は高く評価します。

フェイスリフトの内容は限定的

G20型BMW 3シリーズが登場したのは2019年。1975年の初代から数えて7代目となるが、BMWとして史上最多となる110万台がラインオフしている。登場から3年が過ぎフェイスリフトを受けたが、その内容が限定的なことは理解できる。

成功作へ、敢えて大きな手を加える必要はない。だが、2022年のモデルとして有効な改良が施されている。特に今回試乗した330e ツーリング xドライブでは、その仕事の成果が良く発揮されているようだ。

BMW 330e ツーリング xドライブ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 330e ツーリング xドライブ Mスポーツ(英国仕様)

PHEVだから、短距離を内燃エンジンに頼らず走行可能。ステーションワゴンだから、実用性はすこぶる高い。さらに知的な電子制御の四輪駆動システムを備え、天候を問わないトラクションを確保している。

スタイリングで目立った変化はないといえる。キドニーグリルとヘッドライトに手が加えられ、フロントマスクの表情がリフレッシュされた。フロントバンパーの造形も新しくなり、フォグランプは廃止され、L字型のエアインテークが切られている。

インテリアで目を引くのは、例によってダッシュボード。大きなインフォテインメント用のタッチモニターと、メーター用モニターの2面が一体になった、巨大なモニターパネルが存在感を示す。

センターコンソール上には、インフォテインメント・システムのiドライブ用ロータリーコントローラーが残されている。ラジオのスイッチやボリュームなども存在し、使い勝手は担保されている。

2.0L 4気筒ターボ+モーターで292ps

今回の試乗車はMスポーツで、装備は不足なく充実している。だが、それでも追加できるオプションはふんだんに用意されている。

330e ツーリング xドライブの英国価格は、4万9055ポンド(約814万円)から。試乗車には装備が盛られ、5万7410ポンドポンド(約953万円)へ膨らんでいた。

BMW 330e ツーリング xドライブ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 330e ツーリング xドライブ Mスポーツ(英国仕様)

その内訳は、レッドに塗られたブレーキキャリパーとアダプティブ・ヘッドライト、ヒーター内臓のステアリングホイール、アダプティブ・サスペンション、ハーマン・カードン・サウンドシステムなど。確かに、付いていてうれしいアイテムばかりだ。

エンジンは、他のBMWにも採用される2.0Lの4気筒ガソリンターボで、最高出力は184psを発揮する。さらに8速ATに内蔵された駆動用モーターが109psを加算。PHEVのシステム総合では、10秒間有効になるオーバーブースト時に292psを実現している。

0-100km/h加速は5.9秒。最高速度は223km/hがうたわれる。

駆動用バッテリーの容量は12kWhあり、モーターだけで51kmから54kmの距離を走行可能。現実的には、48km前後と考えて良いだろう。

WLTP値での燃費は52.6-62.5km/Lと現実離れしているが、今回の試乗で高速道路や市街地などを複合的に運転したところ、16.0km/L近くは得られる様子。もちろん、頻繁に充電し短距離移動だけしていれば、ガソリンは燃やさずに済む。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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