1936年生まれの2台(1) 上品キドニーグリルに高度な直6『BMW 328』 加速力はレーシングカー級『ジャガー SS100』

公開 : 2026.03.21 17:45

変わらぬ若々しさを醸し出すBMW 328 技術力を誇示する直6エンジン レーシングカー級の加速を誇ったSS100 細いタイヤで驚く速さのコーナリング UK編集部が1936年生まれの2台へ迫る

技術力を誇示する直列6気筒エンジン

BMW 328は、今も昔も素晴らしい。曲線美なボディへ無骨なバンパーは備わらず、フェンダーラインに無駄はなく、キドニーグリルも上品だ。スポーティなブランドイメージを構築した傑作といえ、ピーターパンの様に変わらぬ若々しさを醸し出す。

リアヒンジのボンネットは、レザーストラップで優雅に止まる。1936年当時、滑らかにフェアリングされたヘッドライトは、息を呑むほど現代的に映ったはず。

シルバーのBMW 328と、アイボリーのジャガー SS100 2 1/2リッター
シルバーのBMW 328と、アイボリーのジャガー SS100 2 1/2リッター    マックス・エドレストン(Max Edleston)

高度な技術力を誇示するのが、1971ccの直列6気筒エンジン。ブロック自体はサルーンのBMW 326と共有し、高度な設計が求められたオーバーヘッドカム化を見送りつつ、高効率な吸排気を実現していた。

同社の技術者、若きフリッツ・フィードラー氏が導いた解決策は、クロスしたプッシュロッド。カムシャフトはサイドマウントされ、90度折れた12本のロッカーアームが動かされた。半球状の燃焼室には、大きなバルブが備わった。

排気音にかき消される金属的なノイズ

最高出力は81ps。車重816kgの328を、充分活発に動かした。最高速度は149km/hが主張されたが、160km/hを超えたという報告もある。実際、当時のAUTOCARは英国のブルックランズ・サーキットで試乗。165km/hを記録している。

326由来のシャシーは保守的といえ、サスペンションは前がリーフスプリングを横向きに配置した独立懸架式で、後ろはリジッドアクスル。他方、強固なチューブラーフレームと、先進的なラック&ピニオンのステアリング、油圧ブレーキが軽快な走りを叶えた。

BMW 328(1936~1940年/欧州仕様)
BMW 328(1936~1940年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディは小柄で、着座位置は低い。今回の車両はシルバーの塗装と相まって、メタルのスーツを着る感じ。リアヒンジの小さなドアを開き、しっかりしたサイズのレザーシートへ腰を下ろす。左肘は、自然とドアの外側。正面にVDO社製のメーターが並ぶ。

既にエンジンは暖気済み。滑らかにアイドリングし、バルブトレインは金属的なノイズを止めないが、ドライな排気音にかき消される。4速MTはハース社製。シフトレバーは、ダッシュボード奥の足元付近から突き出ている。

徹底レストアが引き立てる現代的な運転体験

勇ましいサウンドへ包まれながら、ダブルクラッチを挟んで2速へ。滑らかに次のギアを選べるが、長いレバーは丁寧に動かさざるを得ない。3連ソレックス・キャブレターのアクセルレスポンスは、歯切れが抜群。ギアを問わず、颯爽とスピードを乗せていく。

印象は従順で、自然と安心感が湧いてくる。反応が正確で、程なく自信が築かれる。ヒストリックラリーや裕福なカーマニアから、圧倒的な支持を集めることへ納得する。

BMW 328(1936~1940年/欧州仕様)
BMW 328(1936~1940年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

532 YUFのナンバーで登録された328は、1938年にポルトガルへ納車され、イタリアの公道レース、ミッレ・ミリアへ参戦。前オーナーは、クラシックカー・イベントへ挑むべく、2009年から2年間かけてレストアを施した。予算の糸目を付けずに。

その成果が、現代的で一体感のある運転体験を引き立てている。ステアリングホイールは適度な重みを伴うが、腕がパンパンになるほど力が必要なわけではない。乗り心地も良い。強固なフレームのおかげで、しなやかな足回りを可能としている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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