トップ3からベストを選ぶ 凄まじい動力性能のフェラーリ296 GTB 2種のポルシェも BBDC 2022(5)

公開 : 2023.01.02 13:45

センセーショナルな296 GTBの運転体験

とにかく、296 GTBのドライビング体験は、センセーショナルという表現がぴったりだった。ジェームス・ディスデイルは「脳みそがヤラれるほどの驚き」。だと口にし、リチャード・レーンは「芸術作品のようだ」。と称賛する。

ラップタイムは確かに速かった。多くのミドシップ・フェラーリのように。それでいて、2021年のSF90 ストラダーレともひと味違う。コーナーではバランスに優れ、操縦性はダイレクト。ステアリングホイールやペダルの重み付けも繊細だ。

フェラーリ296 GTB(英国仕様)
フェラーリ296 GTB(英国仕様)

一般道での乗り心地は、穏やかと呼べる範囲。右足の動きに理性があれば、日常的な移動手段にもなり得る。

サーキットでの走りに、より高い得点が集まったことも間違いない。ステアリングホイールにはおなじみの軽さとダイレクト感があり、シャシーは常に旋回できる態勢にあった。

システム総合で830psを生み出す、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)が叶える動力性能は凄まじいのヒトコト。一部のドライバーには、過剰にすら感じられるだろう。

この過剰ぶりが、フェラーリらしさでもあると考える人もいるとは思う。しかし、やりすぎは最高の結果を招かないこともある。スーパーカーとして最大の魅力になり得る、動的能力にも影響が出てしまう。

事実、「公道では殆ど展開できない」。という内容を複数の審査員が口にしていた。それ以外の強みへ、考えを巡らせる必要があった。

審査員を唸らせたPHEVシステム

296 GTBのPHEVシステムは、多くの審査員を唸らせた。V6ツインターボ・エンジンに電気モーターを組み合わせたマクラーレンアルトゥーラと、V6ツインターボのみで走るマセラティMC20という2台との比較も有効だった。

フェラーリの3.0L V6ツインターボは、高回転域でのドラマチックなサウンドでドライバーを魅了する。それ以外の回転域でも、甘美な音響に浸れる。MC20のサウンドは若干荒々しく機械的。アルトゥーラはボリュームが控えめで、線が細く聞こえる。

イエローのポルシェ718ケイマン GT4 RSとブルーのポルシェ911 GT3
イエローのポルシェ718ケイマン GT4 RSとブルーのポルシェ911 GT3

そしてマラネロの工場は、世界有数といえる高性能エンジンの産地。痛快なピークパワーが放たれ、完成度の水準は極めて高い。同時に欧州で規定されるCO2排出量を達成するべく、電動化技術を取り入れ目標値を余裕でクリアしている。

V6エンジンの能力には、崇高さすら感じるほど。102オクタンの特別なガソリンを燃やさなくても、われわれは感服していただろう。

ところが、296 GTB以上にアングルシー・サーキットで巨大な驚きを与えたクルマが存在した。ポルシェ718ケイマン GT4 RSだ。一部の審査員にとっては初試乗となったことも、多少は影響していると思うが。

718ケイマンの小柄なミドシップ・シャシーに、ドイツ・ヴァイザッハのポルシェGT部門が組み上げた自然吸気4.0Lフラット6が収められている。ドライバーの直後から、壮大なサウンドが直に響いてくる。

9000rpmへ接近するほど、カーボンファイバー製インダクションを流れる空気も増大。陶酔せずにはいられなかった。

この続きは(6)にて。

記事に関わった人々

  • オルガン・コーダル

    Olgun Kordal

    英国編集部フォトグラファー
  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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