へこたれない精神力も欲しい ジャガーXJS 英国版中古車ガイド エレガントな大猫

公開 : 2023.01.12 08:25

当時最高水準といえた洗練性 信頼性は怪しい

古き良き1970年代のラグジュアリー・クーペをお考えなら、大きなジャガーXJSは好適な1台といえる。丁寧にレストアされた例であれば、当時最高水準といえた洗練性に感銘を受けることだろう。

中古車価格はお手頃で、大きな予算を準備する必要はない。しかし、経年劣化やそもそもの信頼性の怪しさを考えれば、ある程度の資金力は求められる。継続的な維持には、へこたれない精神力の強さも欲しいところではある。

ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)
ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)

新車時代のAUTOCARの評価は

ジャガーXJ-Sは素晴らしいクルマといえる。最も接近するライバルと比較しても、価格には競争力があり、洗練された走りで最高水準の充足感が得られる。

かなりの努力を費やし、ジャガーが開発したという事実を実感できる。高価とはいえ、運転はとても楽しい。購入できる立場にある人が羨ましく思えるほど。(1976年2月7日)

ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)
ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

V型12気筒エンジンでは、特に整備履歴の確認を忘れずに。ラジエータークーラントの交換は2年毎。エンジン音が大きい場合は、別の例を探したい。カムカバーガスケットと油圧センサーからのオイル漏れに注意。

冷却ファンのブレード、ラジエーターホース、ラジエーター、エアコン・コンデンサーなどの状態を確かめる。始動時の不調はタイミングチェーンの劣化、冷間時に始動してアイドリングが上下する場合は、補助エアバルブの不具合が疑われる。

ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)
ジャガーXJS(XJ-S/1975〜1996年/英国仕様)

直列6気筒エンジンは堅牢性に優れるものの、ヘッドガスケットは8万kmくらいで駄目になる。エンジンオイルに混ざるクーラントがないか確かめる。油圧は正常値で40-50psi程度。

タイミングチェーンからの異音がないか、聞き耳を立てる。交換する場合は、テンショナーも一緒に済ませたい。

トランスミッション

ディファレンシャルからの異音や、フルード漏れがないか確認する。ブレーキディスクにフルードが付く場合がある。変速が滑らかか試乗で確認する。

V12エンジンのXJSには、1970年代後半に設計されたGM製の3速ATが載っている。1993年以降は4速へアップデートされた。

直6エンジンには、ゲトラグ社の5速MTかZF社の4速ATが組まれている。ATの場合は、滑らかな変速感と適切なキックダウンを確かめたい。走行中にコツコツと音がする場合は、トランスミッション・マウントの劣化。MTの場合はクラッチの滑りに注意する。

サスペンションとブレーキ

ショックアブソーバーやブッシュはへたる。ブレーキは、走行中にペダルを踏んでまっすぐ制動力が生じるか確かめる。キャリパーの固着は起こりがち。

ボディとシャシー

ジャッキアップ・ポイントやサブフレーム、クロスメンバーなどにサビがないか観察する。フロアパネルにジャッキを当てられた凹みや、ドアヒンジのガタツキもチェックポイント。

1991年以前のXJSは亜鉛メッキ加工されておらず錆びやすい。前後のフェンダーやドアの底面、トランクリッド、サイドシル、フライングバットレスやリアガラス周辺の状態を丁寧に観察したい。

インテリア

シートベルト・マウントのサビ、天井の内張りのタレ、雨水の侵入に伴うコントロール・ユニットの不調が起きやすい。ウッドパネルの劣化や剥がれ落ちも想定できる。エアコンは正常に動くか確かめる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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