SUV最高の快音 マセラティ・レヴァンテ 英国版中古車ガイド V6とV8はフェラーリ由来

公開 : 2023.03.01 08:25

イタリアンな高級感と高性能が融合したSUV、レヴァンテ。英国編集部が中古車でその魅力を再確認します。

ドラマチックなスタイリングとパフォーマンス

大型SUVのレヴァンテは、マセラティにとって非常に重要なモデルだ。同社初のラグジュアリーSUVとして、経営を支える収益源になるべく2016年に登場している。ポルシェにとってのカイエンや、ジャガーにとってのFペイスのように。

実際、期待に応える人気を獲得している。2021年には、マセラティの販売台数の59%をレヴァンテが占めたという。ドラマチックなスタイリングとパフォーマンスを、実用的に味わいたいと考えるドライバーにとって、訴求力のある選択肢になっている。

マセラティ・レヴァンテ S グランルッソ(英国仕様)
マセラティ・レヴァンテ S グランルッソ(英国仕様)

SUVではあるものの、前後の重量配分は50:50と好バランス。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式を採用する。車高の高いスポーツカーではなく、グランドツアラーという設定で、四輪駆動が標準となる。

動的能力という点では、同クラスのライバルに届かない部分もないわけではない。加速時の操縦性のバランスや、コーナリング中の安定性は、カイエンなどには及ばない。それでも、イタリアンで艷やかなインテリアに包まれれば許せてしまうだろう。

レザーで覆われたダッシュボードの中央では、ブランドの伝統といえるアナログ時計が高貴に輝く。高級感に不足はない。

エンジンは2.0L 4気筒から3.8L V8まで

エンジンの選択肢は多彩といえた。当初英国へ提供されたのは、3.0L V6ディーゼルターボ。274psと61.1kg-mを発揮し、0-100km/h加速6.9秒と230km/hの最高速度を実現している。トランスミッションは、共通して8速オートマティックだ。

レヴァンテ Sでは、マセラティらしいV6ツインターボを搭載。フェラーリ由来の3.0Lユニットは350psと50.9kg-mを発揮し、0-100km/h加速を5.3秒でこなす。快音を響かせながら加速を続ければ、263km/hの最高速度に届く。

マセラティ・レヴァンテ S グランルッソ(英国仕様)
マセラティ・レヴァンテ S グランルッソ(英国仕様)

トップユニットとなるのが、こちらもフェラーリ由来となる3.8L V型8気筒ツインターボ。GTSでは529ps、トップグレードのトロフェオでは580psを発生させ、どちらも最高速度は299km/hがうたわれている。

V8エンジンのレヴァンテは、スーパーカーに並ぶ動力性能を備えるだけでなく、最も美声を響かせるSUVに数えられる。マセラティへの期待通りだ。

2021年からは、マイルド・ハイブリッド版も提供されている。330psを発揮する2.0L 4気筒ガソリンターボに、スターター・ジェネレーター(ISG)が組み合わされている。

ISGは、減速時に運動エネルギーを電気エネルギーへ変換。荷室下へ搭載された駆動用バッテリーを充電し、加速時にエンジンをアシストする。V6ツインターボとの比較で、燃費は18%ほど改善されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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