オーナーを虜にする個性 フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス) 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.04.26 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

新しい1584ccエンジンは、以前より軽快に吹け上がる。動力性能は80km/h程度までは悪くないものの、そこから先は大きく鈍る。空冷フラット4エンジンが放つノイズは大きく、路上では周囲の人を振り向かせるほど。

シフトレバーは曖昧で、変速には少しの慣れが必要。ステアリングホイールやペダルの感触は緩く、バネが介在するようでもある。クラッチペダルは滑らかで、充分に軽い。

フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)
フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

ステアリングの正確性は良い。だが、横から吹く強い風に進路が乱されがちだ。(1968年2月1日)

オーナーの意見を聞いてみる

ジョン・コンスタブル氏

「メカニズム的には、フォルクスワーゲンT2は堅牢です。でもボディは錆びやすく、多くの修理と予算が必要かもしれません。パテで隠されていないか、確認する価値はありますね。養生したマグネットがボディにくっつくかで、ある程度確かめられます」

フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)
フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

「古いクルマですから、ボディパネルが平滑すぎる場合はパテ盛りされている可能性があります。新車でも、サイドパネルが波打っているのは珍しくありませんでした。購入する前にしっかり状態を確かめ、他の例と比較すると良いでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

多くのクラシックカーと同様に、始動性が悪い場合がある。コイル周辺など、電気系統に水分が含まれると不調を招きやすい。潤滑油を定期的に吹くことである程度防げる。

安定して回転しない場合は、ディストリビューターのポイント調整やキャップ交換などで改善することも多い。気温が高くなると、燃料パイプ内でガソリンが気化するベーパーロック現象が起きがち。充分にガソリンが供給されなくなり、パワーが落ちる。

フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)
フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

クランクシャフト・プーリーを前後に動かして、余分な遊びがないかも確認したい。過度に動く場合はベアリングの摩耗が疑われ、リビルドが必要になる。

アクセルとクラッチのワイヤーは伸びている例も少なくない。定期的な点検と、予防的な交換でトラブルを防げる。

トランスミッション

トランスミッション・ケースからフルード漏れしていないか確かめる。リア・クランクシャフト・シール部分は要注意。内部のベアリングからの異音もチェックポイント。

ブレーキ

T2は前後ともドラムブレーキだが、現代のモデルほど効くわけではない。ブレーキシューの固着を防ぐためにも、定期的なメンテナンスは欠かしたくない。

ボディ

この頃のフォルクスワーゲンは錆びやすい。基本的にどこでも錆びる。ホイールアーチや窓のエッジ、サイドシル、フロアやシャシーレールなど隅々まで確かめたい。浜辺で長時間過ごしてきた例は、海水の塩分で余計にサビが進む。

フロントシートの後方や、ルーフのガーター部分は錆びで穴が空くことも。窓ガラスを囲むラバーシールや、パネルが補修されている場合は、その状態も要確認。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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