市街地で才能が輝く BMW 3シリーズの魅力を再評価 G20/G21型が保つ高い支持

公開 : 2023.05.03 08:25

SUV人気が高まるなか、根強い支持を集めているのがBMW 3シリーズ。英国編集部が、その魅力を改めて評価しました。

見た目や標準装備が優先されるクルマ選び

AUTOCARの創刊は1895年に遡るが、その当時から普段使いされるクルマの運転の楽しさへ、注目されていたわけではないだろう。自動車技術の黎明期にあっては、いかに運転しやすいかが最大の焦点だった。

一方で、近年の自動車メーカーはデジタル技術の高度化に余念がない。一般的なユーザーが、走り味の良し悪しへ関心を示さなくなってきたという意見を耳にしても、確かに理解はできる。

BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)
BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)

運転しやすく、安全で快適に目的地まで辿り着くことができれば、クルマの基本的な目的は達成される。ホームページでコンフィギュレータへアクセスすると、先にトリムグレードの選択項目が表示されることも多い。

現在のクルマ選びでは、スタイリングや標準装備が優先されるといっていい。動力性能などは一定水準あれば大丈夫、と考える人が多いのだろう。

数年前、筆者は同僚とこのようなテーマで議論を交わしたことがある。その時は、運転にこだわりを持つドライバーが好むような、優れた操縦性や乗り心地を備えるクルマは、多くのユーザーへも自信を与えるという結論に帰着した。真っ当だと思う。

優れた操縦性を備えることの重要性

ある人が選んだ理由は、インテリアの上質さかもしれない。ワイヤレスで対応するアップル・カープレイと、有能なアダプティブ・クルーズコントロールへ惹かれた、ということもあり得る。

だが、しなやかな乗り心地や扱いやすいブレーキ、素直なステアリングを備えるという事実は、普段使いの印象へ大きく影響を及ぼす。数年後、次も同じメーカーのクルマにしようと考えさせる理由になる。特に意識しなくても、自然と感じ取れるものだ。

BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)
BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)

一般的なユーザーが気に留めていなくても、走り味は極めて重要。筆者はそう考える。自身のクルマ選びでは、最優先の項目だといっていい。クラスレスでタイムレスなBMW 3シリーズは、まさにその理想的な存在だ。

普段使いされるクルマが、優れた操縦性を備えることの大切さを、3シリーズは飾ることなく体現してきた。1975年からの約半世紀に、7代目へ進化を重ねながら。

現行の3シリーズは、モデル中期のフェイスリフトを2022年に受けている。スタイリングが僅かにリフレッシュされ、インフォテインメント・システムがアップデートされ、大きなタッチモニター・パネルを獲得した。しかし、基本は変わっていない。

最近のニューモデルは、SUVやクロスオーバーが中心。欧州車の定番といえた、ファミリー・ハッチバックはモデル終了が相次いでいる。しかし、3シリーズは根強い支持を保っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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