コロナ禍を「サーキット走行会」はどう乗り越えたのか 感染対策がモータースポーツの草の根にも浸透

公開 : 2023.05.08 21:45

モータースポーツの草の根を支える「サーキット走行会」は、コロナ禍をどのように乗り越えてきたのでしょう。運営の方や、参戦者の声を集めました。

コロナ禍のサーキット通いの形

旧車ブームが続く中で“クラシックカーでモータースポーツを愉しむオーナー”が増えており、今年もサーキットを舞台とした走行会が各地で盛んに開催されている。

千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイを会場として年間4戦で実施されている「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」も、その1つだ。

取材に応じてくださった細川隆誠さんのトライアンフ。
取材に応じてくださった細川隆誠さんのトライアンフ。    高桑秀典

第40回目を迎えたTBCCもコロナ禍に負けることなく継続開催されてきたが、その裏には実行委員会の苦労があった。

というのも、非常事態宣言、他県への越境訪問の自粛要請、医療体制の状況などを総合的に判断、協議しながら運営し、感染者数が爆発的に増えたときには延期して代替日程で実施するなどしてきたからだ。

そして、感染症防止対策に重点を置いての開催となっていた時期には「一般観戦者の入場を不可」とし、「走行時以外はマスクを着用する」「他者との間隔を十分確保する」「体調が悪いときは参加しない」「室内に入るときは検温する」「受付時は窓越しで対応する」「ドライバーズミーティングはマスク着用+検温+換気」を行いつつ、密にならないようにドライバーとスタッフのみの参加とするなど、さまざまな対応措置を講じてきた。

一般観戦者の受け入れを再開したのは、2022年6月に開催された第37回からだ。

それでも参加者が集まった「TBCC」

TBCC競技長の田中伸一さんによると、感染症防止対策のため、今後も場内ではマスクの着用を徹底し、ドライバーズミーティングで参加者が着席する机の間隔を広くしたままにする、といった対応措置を継続していくそうだ(2023年春の取材時)。

高齢ドライバーの代表として昭和21年生まれの細川隆誠さんにもインタビューしてみたが、インフルエンザにもかかったことがないので、コロナ禍の中でもこれまで通り楽しんできたのだという。

参戦を続けられる理由に、ヒトとヒトとの繋がり・支え合いを挙げるオーナーが多い。
参戦を続けられる理由に、ヒトとヒトとの繋がり・支え合いを挙げるオーナーが多い。    高桑秀典

「健康の秘訣は何も考えないこと。何事も気は持ちようなので、感染症も気の持ちようです。過去にイベントをやっていて、ひと休みしていたところもまた動き出しているので嬉しいですね。とはいえ、自分の場合は年齢が年齢なので、いつまでレースができるかな? と思っています」とも話してくれた。

クラス優勝を果たすなど、TBCCの名物参加者のひとりとなっている細川さんによると、以前はクラシックミニに乗っていて、袖ヶ浦フォレストレースウェイや筑波サーキット、そして、韮崎市にある小さなサーキットなどを走っていたのだという。

TBCCに参戦するようになったのは8~9年ぐらい前のことで、同レースの統括から車両についてのイロハを教えてもらい、たまたま懇意にしているショップにロールバーと8スポークホイールがあったので、難なくレースカーが完成したそうだ。

「クラッシュして転覆すると危ないのでロールバーに斜めのバーを追加してもらい、トライアンフのなんちゃってレースカーができました」と笑顔で話してくれた細川さんは、これからもクラス優勝を目指して走り続ける。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

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