V6ディーゼルで能力強化 フォード・レンジャー 240エコブルーへ試乗 欧州の働くクルマ

公開 : 2023.08.06 08:25

ピックアップの新型レンジャーに、パワフルな3.0L V6ディーゼルが登場。2.0L 4気筒との違いを、英国編集部が確かめました。

余裕の240psを生む3.0L V6ツインターボ

欧州では働くクルマとしても支持を集めるフォード・レンジャーに、新たな仕様が追加された。多くのユーザーを喜ばせるであろう、V型6気筒ディーゼル・ツインターボエンジンがこのモデルに設定されるのは、今回が初めてとなる。

レンジャーは、アメリカンなライフスタイルを想起させる有能なピックアップトラックとして、先代の2011年にイメージを一新。それ以来、大成功といえる販売数を稼ぎ出している。

フォード・レンジャー 3.0 V6 240エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 3.0 V6 240エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)

ベーシックなレンジャーに積まれるのは、最高出力が170psか205psの2段階に設定された、2.0L 4気筒ディーゼルターボ。だが、新しい3.0LのV6ディーゼル・ツインターボは、240psを生み出す。惹かれるパワーユニットであることは間違いない。

他方、トップグレードに据えられていたワイルドトラックは、オーナーの憧れだった。しかし、現行型へのモデルチェンジとともにグレード設定にも変更が加えられ、羨望を集めるほどの選択肢ではなくなっている。

V6ツインターボガソリンを搭載する292psのレンジャー・ラプターと、ワイルドトラックとのギャップを埋めるべく、新たにレンジャー・プラチナというグレードが設定されたのだ。フォードF-150へ寄せたルックスで、上級志向のユーザーを引き寄せている。

ボンネットには、PLATINUMとアルファベットのロゴが並ぶ。ランドローバーレンジローバーのように。ワイルドトラックは、レンジャーの中間グレードへポジショニングが改められた。

明らかにパワフル オンロード性能も優秀

2.0Lディーゼルターボのレンジャー・ワイルドトラックは、優れた燃費と不足ない動力性能が大きな魅力。一方で、差別化が控えめな容姿にパワフルなV6ディーゼルターボという組み合わせは、通好みの内容といえるかもしれない。

ちなみに、高性能なレンジャーの人気へ後押しされるように、ビルシュタイン・ダンパーが組まれたワイルドトラックXも追って登場する予定にある。

フォード・レンジャー 3.0 V6 240エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 3.0 V6 240エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)

2.0L 4気筒ディーゼルターボの205psから35psの増強というのは、少々物足りないようにも思える。それでも、最大トルクは50.9kg-mから61.1kg-mへ2割ほど増えている。

力仕事も多いピックアップトラックとしては、明らかな違いが現れる数字といっていい。実際、出だしから明らかにパワフル。10速ATが低いギアにある時は、オフロードで豪快にホイールスピンしてみせる。

ステアリングは充分にクイックで、オンロードのコーナリング性能もこの手のクルマとしては優秀。ボディロールはしっかり抑えられ、優れたグリップ力で安心感も高い。

ただし、レンジャー・ラプターに迫るような高性能トラックになったわけではない。ディーゼルエンジンは勇ましい唸りを響かせるものの、働くクルマとして実務に適した性格付けにある。視線を集める、アウトドアライフ・アイテムの延長ではなく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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