格安EV、欧州に本格展開か ステランティスが中国から輸出 加熱する価格競争

公開 : 2023.11.04 06:05

・ステランティスは中国製EVを欧州に広く展開する可能性。
・株式20%を取得したリープモーターの「T03」は約100万円。
・BYD、シトロエンなども低価格EVを投入。価格競争が激化。

ステランティス、中国から格安EV導入か

欧米系の自動車メーカーであるステランティスは、中国の新興企業リープモーターの欧州販売について「評価中」だ。安価な小型EVが広く投入される可能性がある。

ステランティスは26日、リープモーターの株式20%取得を発表したが、これによりリープモーターのモデルを中国国外に輸出する独占権を得た。早ければ2024年から新合弁会社を通じて欧州販売を開始する予定だという。

リープモーターT03
リープモーターT03    リープモーター

リープモーターはすでにフランスで小型EV「T03」を販売しており、頭金なしで月々99ユーロ(約1万6000円)から購入できる。T03の全長は3620mmで、1回の充電での航続距離は280kmと謳われている。

T03は中国では補助金込みで4万9900元(約100万円)から販売されているが、欧州では輸送費、輸入関税、安全装置の改造費などが加算され、価格は一般的に2倍になる。リープモーターは他にもSUVのC11を15万5800元(約320万円)から、セダンのC01を14万9800元(約310万円)から販売している。

ステランティスがリープモーターの低価格EVを広く導入すれば、環境規制の強まる欧州で有利に働くだろう。英国では来年から、メーカーに対し一定割合のZEV(ゼロ・エミッション車)販売を義務付ける。

市場調査会社データフォースによると、ステランティスは現在、英国におけるEV普及率でライバルに遅れをとっており、傘下ブランドのヴォグゾールオペルの英国版)とプジョーが昨年10月から今年9月までの1年間でそれぞれ15%で社内トップとなる。他にアルファ・ロメオシトロエン、DS、フィアットジープも電動化を急いでいる。

欧州ではEVの価格競争が激化しつつある。リープモーターT03の価格は、英国で市販されている中で最も安価なBYDドルフィンの2万5490ポンド(約470万円)を下回る可能性が高く、また2024年に発売予定の新型シトロエンe-C3の22000ポンド(約400万円)より安くなるかもしれない。

ステランティスは、2030年までに年間50万台のリープモーター車を輸出する計画で、中東、アフリカ、南米など他の市場での販売も評価しているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニック・ギブス

    Nick Gibbs

    英国編集部ビジネス担当記者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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