「違和感ある」ほど速い500馬力 ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 走破性を維持

公開 : 2023.12.20 19:05

世界最高峰のオフローダー 称賛したいV8

さて、早速オフロードへ出かけてみよう。全高は1970mmで、110より僅かに高いが、1996mmの全幅は同じ。狭い林道では取り回しに気を使うものの、運転席からの視界に優れ、車幅感覚は掴みやすい。

ローレンジ・トランスファーと、最低地上高を増やすエアサス、ピレリのオールテレーン・タイヤ、知的なトラクションとスタビリティ・コントロールに、急勾配で活躍するヒルディセント・コントロールなどを実装。酷い不整地でも、余裕で対応できる。

ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)
ランドローバーディフェンダー 130 P500(欧州仕様)

子供の引越し先が山奥だったとしても、お父さんはステアリングホイールを握り、アクセルペダルを丁寧に傾けるだけ。難しい処理は、シャシーが引き受けてくれる。

最低地上高は、1番持ち上げた状態で291mm。リア・オーバーハングが路面と接する角度、デパーチャーアングルが多少犠牲になっているものの、世界最高峰のオフローダーであることに変わりはない。

低回転域から太いトルクを生み出す、シルキーな直列6気筒ディーゼルターボの方が、シリアスな路面へ挑むには理想的なエンジンといえる。とはいえ、このV8エンジンも非常に頼もしい。一見走破できなさそうな状況でも、苦労している様子はなかった。

ランドローバーの場合、エンジンがストロングポイントになる機会は殆どなかったといえる。だが、このV8スーパーチャージド・ガソリンは称賛したいユニットだ。同時に、ディフェンダー本来の特長が犠牲になっていない点も、称賛すべきだろう。

違和感を感じるほど速い オンとオフの2面性

エンジンを目覚めさせると、勇ましいバリトンノイズが耳へ届き出す。ディーゼルターボより、明らかにアグレッシブ。

右足へ力を込めれば、違和感があるほど速い。ドラマチックなエグゾーストノートを奏でながら、ボディの重さを忘れさせる勢いで速度を高める。スーパーチャージャーのソプラノな回転音も、鑑賞に値する。

ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)

豊満なパワーを、知的な四輪駆動と電子制御のシステムが、効果的に路面へ伝達。高回転域では、周囲を威嚇するような唸りが放たれる。カリスマチックなBMWのV8ユニットの音響体験には、届かないかもしれないが。

穏やかに運転している限り、エンジンの存在感は控えめ。ただし丁寧に運転しても、燃費が7.0km/Lを超えることはなかった。カタログ値は、10.6km/Lがうたわれる。そう、130のP500が現在のディフェンダーで1番燃費は優れない。

新型のディフェンダーは、オンとオフの2面性を備える大型SUVであることが、特長になっている。直感的に操縦でき、反応は正確。これは、130にも当てはまる。

オンロードでは、エアサスが大きなボディをしっかり支持。8名の大人を乗せれば、流石に重さを感じるかもしれないが、数名程度なら、110と比較して姿勢制御に目立った違いはないようだ。

コーナリング時のボディロールは小さくないものの、安定感は高い。ステアリングホイールの重み付けも理想的。110と変わらないレシオにも、不満は抱かなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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