「違和感ある」ほど速い500馬力 ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 走破性を維持

公開 : 2023.12.20 19:05

登場から3年が経過した新型ディフェンダー 最も強力で賑やかなV8スーチャーのP500が登場 世界最高峰の悪路性能は不変 英国編集部が評価

最も強力でにぎやかな130のP500

新型ランドローバーディフェンダーの発売から、3年が経過する。このタイミングで、新たな1択が追加された。

初代にはリアにベンチシートが横向きで備わるモデルも存在したが、現行で6名以上の大人を乗せるには、130が唯一の選択。だがパワートレインは、マイルド・ハイブリッドの直列6気筒ガソリンかディーゼルに限定されていた。

ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)

プラグイン・ハイブリッドは、駆動用バッテリーなどを搭載する都合上、3列シートでの実現は難しい。そこでラインナップを充実するべく、ランドローバーは5.0L V型8気筒スーパーチャージャーをチョイス。最も強力でにぎやかな、P500が登場した。

少々時代錯誤かもしれない。環境負荷を強く意識する一部からは、反発の声が聞こえそうだ。それでも同社は、今後1年以内にバッテリーEVを発売する予定がある。多様性の1つ、と考えても良いだろう。

前から2名+3名+3名が座れ、定員は8名。英国では定員が9名を超えると、ミニバス扱いになるため、最前列にジャンプシートは指定できない。

全長は5358mm。ディフェンダー 110から伸びた600mmはリアのオーバーハングへ充てがわれ、ホイールベースは変わりない。急勾配でリアの下端が路面へ当たらないよう、形状も僅かに変更してある。

装備内容は110より充実しており、車高を調整できるエアサスペンションが標準。そのかわり車重は200kg重く、2670kgへ増えている。

最高出力500ps 大人でも余裕で座れる3列目

ディフェンダーを、スポーツ・ラグジュアリーSUVへ押し上げる仕様といえ、直接的に対峙するのはメルセデスAMG G 63。アウディRS Q8やBMW アルピナ XB7、ポルシェカイエン・ターボなどとも、比較されるのに不足はない。

ボンネット内に納まるのは、ジャガー・ランドローバーによるAJ型ユニットで、最高出力は500ps。最大トルクは62.2kg-mを発揮する。レンジローバーのように、BMW由来の4.4Lユニットではない。

ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)

残念なことに、このAJ型ユニットは生産が終了している。ジャガーFタイプにも同じ在庫が割り当てられるため、ご関心をお持ちなら早めの行動をオススメしたい。

600mmも長くなったことで、車内空間は広大。一般的な3列シートのSUVでは、最後列は子供や小柄な大人の席になりがちだが、130なら背が高くても2名が余裕で過ごせる。3名を押し込むと、流石に不満は出るかもしれない。

2列目をスライドさせ、隙間から乗り降りする必要はあるものの、大家族には重宝がられるに違いない。チャイルドシートは、2列目と3列目に2脚づつ固定できる。

3列目にも人が座った状態で、荷室には400L近い空間が残る。1列目以外を折りたたむと、荷室容量は2500Lへ広がる。ワンボックスのバンほど広くはないにしろ、子供の引っ越しにも活躍するはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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