偶然の出会いで決まった出場 アルファ・ロメオ1900でミッレミリアを走ってみた2人(1) 修理は自分で

公開 : 2024.01.14 17:45

ペアパーツをまとめ買いしに直接イタリアへ

フィアットフェラーリのクラシックカーへ詳しく、ユーチューバーとしても活動しているマークは、リアデフ・ケースの不具合を発見。亀裂を修復するには、リアアクスルを降ろし、ハーフシャフトを抜き取る作業が必要だった。

タイヤとシートベルトは、新品に交換。トランスミッションとスロットル系はリビルドされた。クラッチペダルは重く、長距離を快適に運転するにはレリーズベアリングの交換も必要だった。

アルファ・ロメオ1900 スーパー(1950〜1959年/欧州仕様)
アルファ・ロメオ1900 スーパー(1950〜1959年/欧州仕様)

「トランスミッションをフロアの下から外すより、エンジンを下ろした方が手っ取り早いとわかりました」。とマークが振り返る。その様子は、自身のユーチューブ・チャンネル、「Italian Garage(イタリアン・ガレージ)」で紹介されている。

ディストリビュータはリビルト。クランクプーリーの交換が必要だったが、英国では1900の部品が入手困難だと判明し、イタリア・ミラノの専門店を頼ることになった。

最終的にマークは、スペアパーツをまとめ買いするため、直接イタリアへ向かった。「新しいクランクプーリーは、機械加工する必要がありました。ローターアームも見つからず、シェリダンが乗っていたランチア・アッピアのものを流用しています」

「ウォーターポンプは、幸運にも買った1900の荷室にスペアが入っていたんです」。微笑みながらマークが話す。参加者自らクルマの整備を済ませて出走したのは、2023年のミッレミリアでは、彼らが恐らく唯一だっただろう。

世界最大のクラシックカー・ショーのよう

6月中旬。いよいよイタリアへ向けて2人と1台は出発した。初日の日曜日は、15:30にスタート/ゴール地点となるイタリア北部のブレシアで車検があった。それまでは美術館を鑑賞し、美味しいイタリアンで昼食を楽しんだそうだ。

月曜日は、司祭によって参加を祝福してもらうイベントへ出席。450台が一同に会した。オースチン・ヒーレーは、予想通り最も参加数が多かったという。

2023年のミッレミリアの様子
2023年のミッレミリアの様子

「世界最大のクラシックカー・ショーに参加したような気分でした。レースへ集中することが難しいほど。着物姿の日本人が、(イタリアに存在したスポーツカー・メーカーの)エルミニを運転する様子など、ほかでは見られませんよね」

1900の不具合は、イタリアでも発生した。「予備のダイナモを持ち込んでいましたが、ちゃんと充電できませんでした。しかし、幸運にも1914年創業の電装屋さんを見つけて、直してもらえました。ブラシが正しく付いていなかったようです」

電圧などを調整するレギュレーターが、加熱する不調も発生。ミネラルウォーターのボトルを固定し、冷却することで対応した。

ブレシアの出発は、13日の火曜日。ステージへ出場車が順番に登り、大画面にドライバーとコドライバーの顔が映し出される。

「午後3時にスタート。最初のセクションは午後7時に終わりましたが、更に4時間、夜のスティントもあったんです」。マークが驚きながら振り返る。1日目は北部のヴェローナ、フェラーラ、イモラを巡り、ミラノで終えた。

この続きは、アルファ・ロメオ1900でミッレミリアを走ってみた2人(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルファ・ロメオ1900でミッレミリアを走ってみた2人の前後関係

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