クルマ漬けの毎日から

2025.08.10

1976年製の「フォード・エスコートRS 1800」が、イギリスのオークションで驚きの高値で落札されました。後半では、EVの中古車価格(イギリス市場)についてお伝えします。注目はBMW i3です。

半世紀経て価格高騰! フォード・エスコートRS 1800【クロプリー編集長コラム】

もくじ

フォード・エスコートRSのオークション
EV中古車市場 人気のBMW i3

フォード・エスコートRSのオークション

ここに私たちだれもが買っておくべきだったクルマがある(上の画像)。この1976年製のフォード・エスコートRS 1800は、新車の時には3000ポンドを少し超えたくらいの価格(当時の為替レートで約160万円)で販売されていた。

しかし、最近イギリスのバークシャーで開催されたヒストリックカーのオークションでは、なんと27万9000ポンド(約5500万円)という驚きの高値で落札された。

どうやらこの個体は、フォードの2台目の広報車だったらしい(1台目は衝突して大破)。目撃者によれば、今回のオークションは激しい競り合いとなり、これほどの高値がついたという。

落札された1976年製のフォード・エスコートRS 1800は、オリジナルのままの極めて状態の良い個体。2度レストアされており、レースやラリーに参加した経歴はない。総走行距離は2万5000mile(約4万230km)と表示されている。

しかし、こうしたオークション結果を見ると、将来、現代のどのクルマが、このエスコートRSのように大きく値を上げるのかが気になる。私のコード・オレンジのフォード・レンジャー・ラプターがそうなることを期待したい。

だが、このエスコートRSはそのオーナーに幸運をもたらすまでに50年かかっている。50年後には、私はもうこの世にいないだろう。

Mk2のフォード・エスコートをベースに、高性能モデルとして誕生したエスコートRS 1800。1975年に登場し、ラリーで名を馳せた。

ところで、1976年に休暇でオーストラリアからイギリスへ来た私は(当時はまだ故郷のオーストラリアに住んでいた)、広報車のエスコートRS 1800を運転したことがある。もしかしたら、今回オークションにかけられたまさにこの個体だったかもしれない。

自動車ジャーナリストの友人たちが、2台の比較テストを行なっていて、その1台がフォード・エスコートRS 1800だったのだ。もう1台はオペル・カデットGTEだった。

エスコートRS 1800のほうがエンジンが優秀だったし、ずっと評判も高かったが、私の好みは(わずかな差で)カデットGTEだった。当時のカデットGTEは、現在どのくらいの値段なのだろうか? 3万ポンド(約600万円)を下回るのはまちがいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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