総合374ps ボルボV60 T8ツインエンジン PHEV+ツインチャージャー4気筒

公開 : 2019.11.26 09:50  更新 : 2023.09.21 08:30

スウェーデン製の高性能ステーションワゴン、ボルボV60 T8ツインエンジン。EVモードでの利便性をこのクラスで提供する魅力的な1台です。英国編集部ではドライバーの環境次第で90点が付けられると評価しています。

最もパワフルなパワートレインは安くない

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ボルボV60 T8ツインエンジンは、ボルボが提供する最もパワフルで先進的なパワートレインを搭載した、かなり魅力的なファミリーカーだ。T8というグレード名が与えられているが、プラグイン・ハイブリッドモデルで、40kmの距離をEV状態で走行できる。

ポールスター・エンジニアード」というトリムグレードを選べば、ブレンボ製のブレーキに調整式のオーリンズ製ダンパーを装備。よりシャープな操縦性を獲得する。

ボルボV60 T8ツインエンジン
ボルボV60 T8ツインエンジン

英国へも間もなく上陸予定で、控えめなアピアランスひ秘めた性能というクールさが、更に高まる。まだ試乗はできていないが、価格は6万ポンド(840万円)位にはなるだろうから、出回る数も限られるだろう。

ポールスター仕様でなくても、V60 T8ツインエンジンの英国価格は5万905ポンド(712万円)からと安くはない。V6ターボエンジンを搭載したメルセデスAMGのC43エステートとほぼ同じ金額となる。

この予算を準備すれば、超スムーズなV6ターボディーゼル・マイルドハイブリッドを搭載したアウディS4アバントも手に入る。374psを発生する最高の直列6気筒を搭載した、BMW M340iツーリングも買えてしまう。

ではV60 T8ツインエンジンの魅力とは。5万ポンド(700万円)で380psを超える4気筒エンジンモデルは、ボルボのみ。しかも環境に優しいプラグイン・ハイブリッドで、純EVとして走ることも可能。

読者の優先順位に応じて選べばいいわけだが、ボルボのコンセプトに賛同する読者もいれば、そうでない読者もいるだろう。

快適で洗練された高速クルーザー

フロントタイヤを駆動する2.0Lの4気筒ガソリンエンジンには、ターボチャージャーとスーパーチャージャーをドッキング。クルマを貫くドライブシャフトはなく、後輪は電気モーターで駆動する。

バッテリーは従来のT8インタラクションよりも大容量化された11.6kWhで、ホイールベース内に収まっている。おかげで荷室容量は、V60の529Lという大空間から目減りしていない。

ボルボV60 T8ツインエンジン
ボルボV60 T8ツインエンジン

最新のハイスペックのボルボだけあって、V60 T8ツインエンジンの車内は豪奢で快適。柔らかなレザーにコントラストが映えるステッチ、芸術的な金属製のトリムでインテリアはコーディネートされている。

もし今晩長距離ドライブが急に決まっても、このクルマなら強く不満を抱くこともないだろう。落ち着いた車内からは、ドイツ製のライバルが「スポーティ」と呼ぶような、デザインの仕掛けもない。とても新鮮で爽やか。

一方で車内はダイナミクス性能を表現するものでもある。エンジンとモーターが組み合わさり、システム総合での最高出力は386psにも達する。2tを超える車重を有しているが、その重さを伴いながらクルマは向きを変えていく。

クルマのコーナリング時の振る舞いは全体的に引き上げられているが、リアタイヤが電気モーターで動いているという実感は、ほとんど感じ取れない。ステアリングに伝わってくる感覚も希薄だ。

結果として、姿勢制御でやや締まりに欠ける、速いステーションワゴンといった印象となる。増えた車重に、ドライバーが馴染めることもなさそう。ゆったりと腰を掛けて、上質な車内に包まれながら、洗練された高速クルーザーとして走らせるのが一番だろう。

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