【市場は変わるか?】オールシーズン・タイヤの伸びしろ 10%のドライバーを振り向かせるには

公開 : 2020.02.22 22:15  更新 : 2021.10.11 13:56

いま、口コミが重要なワケ

2番目の強みは、前述のベクター4シーズンズの日本向けラインナップを、2016年の時点で大幅に拡大したということ。この頃に購入したユーザーが、すでにタイヤ交換の時期を迎えているのだ。

同社の調査では「9割近い方が満足されていて、再購入の意向も非常に強い(有田俊介マーケティング本部長)」という。

スタッドレス・タイヤとオールシーズン・タイヤを比較する機会も。
スタッドレス・タイヤとオールシーズン・タイヤを比較する機会も。

現代のマーケティングにおいて何よりも大切な“ユーザーの声”を、いま手にしているメリットは大きい。なにしろオールシーズン・タイヤというのは、1年以上の使用を経て評価が定まる性格の品だから、短期間では口コミも集まらない。

既存顧客の満足度が高いというのだから、ユーザーの囲いこみも期待できる。

また、1977年に世界初のオールシーズン・タイヤを発売した「オールシーズン・タイヤのパイオニア」というフレーズは、明確な個性を出しづらいタイヤ業界にあって、他社には真似ができないメッセージとなっている。

世界にはオールシーズンを名乗るタイヤは多く存在し、冬タイヤをベースに開発したものもあれば、夏タイヤ寄りの性格を強めたものもある。冬用としての性能をどこまで追求するかについても、地域によって考え方が異なる。

グッドイヤーのオールシーズン・タイヤは、「高いレベルでのバランスが取れていることが強みの1つ。夏にふったわけでもなく、冬にふったわけでもない。ある部分だけを見るのではなく、全体を見てもらえればバランスを分かって頂ける(金原社長)」というキャラクターがある。

取材班が訪れた雪上走行会は、午前と午後とでコンディションが大きく変わったが、クルマのコントロールに困るそぶりを見せるドライバーはいなかった。

しかし日々の運転はこれとはまた別の世界。

ドライビングの経験値・癖は人それぞれだし、クルマの性能も使われ方も異なる。安全に直接関わる部分の話しだから、1人ひとりの声が一層大きな意味を持つ。ユーザーの支持を得るのは、どのタイヤメーカーになるだろう。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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