感傷的になるほど「イイクルマ」 シンプルがベスト ヴォグゾール(オペル)・コルサヘ試乗

公開 : 2024.01.17 19:05  更新 : 2024.08.15 08:17

ベーシックな内燃エンジンを積んだ小さなオペル 根強い人気を維持 価格以上の仕上がり 感傷的な気持ちになるほどイイクルマ 英国編集部が評価

根強い人気を維持するエンジン版コルサ

英国オペルヴォグゾールのコルサには根強い人気がある。6代目へモデルチェンジしてから数年が経過するが、このクラスの小さなコンパクトカーは、英国では最も多くの台数が売れている。好調に注文を集めていても、まったく不思議ではない。

しかし英国では、2024年から内燃エンジンに対する規制が一層強化される。全メーカーに対し、バッテリーEVの割合を増やすよう指示が出される。反則金も課せられる。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)

新しいコルサには、内燃エンジン版とバッテリーEV版が用意されているものの、直近の販売割合は3:1から4:1で、内燃エンジン版の方が遥かに多い。ヴォグゾールは、コルサ・エレクトリックの販売数を増やす必要に迫られている。

読者だったら、どんな方策を取るだろう。内燃エンジン版を減らしながら一定の収益を確保するため、装備内容を改め、価格を引き上げるというのが、一般的な手段といえるだろう。

新しい内燃エンジン車の販売が英国で禁止される2035年に向けて、どのメーカーも対峙することになる共通のテーマだ。それでも、まだ数年間はそれが主力になることも、間違いはないようだ。

実際、ヴォグゾールは2024年に新しいパワートレインを導入予定にある。電圧48Vのシステムでアシストされる、1.2Lガソリンターボのマイルド・ハイブリッドで、最高出力は136psがうたわれている。

ガソリンターボ版は価格以上の仕上がり

フェイスリフトを受けた6代目コルサだが、従来どおり気持ちの良い走り味は変わらず。フロントマスクがリフレッシュされ、新しい技術や内装を得ているが、シンプルなコンパクトカーという魅力は継承している。

新ユニットの登場まで、英国で選べるエンジンは1.2L 3気筒ガソリンのみ。自然吸気では75ps、ターボでは100psか129psの最高出力を発揮する。トランスミッションは、オートマティックの他にマニュアルも選べる。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)

英国価格は、約2万ポンド(約370万円)からとお手頃。航続距離が伸ばされた、ステランティス・グループ第2世代の電動パワートレインを搭載したコルサ・エレクトリックは、3万5000ポンド(約648円)から。小さなハッチバックのお値段とは思えない。

というわけで、少なくない英国人は、まだしばらく内燃エンジンを積んだコルサを選ぶだろう。しかも、フェイスリフト後のガソリンターボ版は、価格以上の仕上がりにある。

今回試乗したコルサは、中間グレードの100ps仕様でマニュアル。アクティブLEDマトリックス・ヘッドライトにネットワーク化されたインフォテインメント・システム、ワイヤレス充電パッド、快適なフロントシートなど、フェイスリフトの恩恵を実感できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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