感傷的になるほど「イイクルマ」 シンプルがベスト ヴォグゾール(オペル)・コルサヘ試乗

公開 : 2024.01.17 19:05

実用性は先代コルサの方が優れていた

車内を観察すると、メーター用モニターとステアリングホイールが新しくなったことがわかる。ファブリックも上質になり、印象を高めている。とはいえ、このクラスで最も魅力を感じるインテリアとまではいえない。

インフォテインメント・システム自体に、目立った変更はない。しかし、使い勝手が悪いわけではない。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)
ヴォグゾールオペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)

ベースグレードでも、コルサ・エレクトリックより装備は勝る。タッチモニターは7.0インチではなく10.0インチと大きく、スマートフォンとのミラーリング機能も、有線ではなく無線で対応する。

エアコンの操作パネルには実際に押せるハードスイッチが残り、車線維持支援システムの切り替えスイッチも独立して用意されている。欧州で義務化される速度制限の警告システムは、2024年6月までに機能させるという。ソフトウェアで対応するようだ。

車内空間はほどほど。リアシート側は、子供用だと割り切った方が良いだろう。実用性だけを見れば、先代コルサの方が優れていた。

感傷的な気持ちになるほどイイクルマ

走りの洗練性や動力性能、扱いやすさは、バッテリーEVのコルサ・エレクトリックと遜色なし。車重は約350kgも軽く、落ち着いた操縦性と乗り心地が備わっている。コルサ最大の魅力が「シンプル」であることを、体現する仕上がりにある。

1.2Lガソリンターボはトルクが太く、充分以上にたくましい。6速マニュアルは、変速フィールが好ましい。連続するコーナーを、意欲的に駆け抜けられる。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)

高速巡航は静かで快適。ライバルと比べて、1番機敏というわけではなく、洗練性で他を凌駕するわけではないが、心地良く経済的。長時間でも運転しやすい。バッテリーEV版へ、英国の既存ユーザーを惹きつけることが難しいほど。

コルサが、英国最後の内燃エンジン車になる可能性はゼロではない。クラス・ベストではないかも知れないが、お別れの日がいずれ来ることを考えると、感傷的な気持ちになってしまうほどイイクルマだ。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ 100GS(英国仕様)のスペック

英国価格:2万2905ポンド(約424万円)
全長:4060mm
全幅:1765mm
全高:1433mm
最高速度:193km/h
0-100km/h加速:9.9秒
燃費:19.2km/L
CO2排出量:117g/km
車両重量:1100kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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