60年間のベスト・オブ・ベストは? プリウス/フォーカス/128/100/Ro80 欧州COTYの1番を選ぶ(7)

公開 : 2024.02.18 17:46

20世紀へ相応しい洗練性や安全性、製造品質

かくして15台の頂点に輝いたのは、1990年代の代表、初代フォード・フォーカス。小さなフィアット128と同じく、素晴らしい運転の楽しさを備えていただけでなく、20世紀後半のモデルへ相応しい、洗練性や安全性、製造品質を備えていたためだ。

しかも、登場から26年が経過した今でも、スタイリングは新鮮でモダン。人気に陰りが出ていたフォード・エスコートからの脱却を図った、意欲的な新モデルでもあった。

フォード・フォーカス(初代/1998〜2004年/英国仕様)
フォード・フォーカス(初代/1998〜2004年/英国仕様)

エンジニアとデザイナーは、クラス最高の仕上がりを与えるべく、過剰といえる努力を投じたといっていい。そして、実際にフォードは成功を収めている。

初代フォーカスは、60年間の欧州COTYにおける、ベスト・オブ・ベスト。今後、クラシックカーとしても価値を高めていくに違いない。

年代別欧州COTY 上位5台の獲得得点

1位(24点):フォード・フォーカス(初代)
2位(16点):フィアット128
3位(14点):トヨタプリウス(2代目)
4位(12点):アウディ100
5位(9点):NSU Ro80

アウディ100(1982〜1991年/英国仕様)
アウディ100(1982〜1991年/英国仕様)

番外編:受賞できないBMW 3シリーズ

AUTOCARではドライバーズカーとして評価の高いBMWながら、1970年以降、欧州COTYで点数を伸ばすことは殆どなかった。その理由といえたのが、高価すぎるとみなされていたためだ。

21世紀に入り、3シリーズは3回も代替わりしているが、欧州COTYには選ばれていない。プレミアム・ドライバーズカーの定番といえる地位を獲得し、適度な大きさのサルーンとステーションワゴン、クーペ、カブリオレが提供されているにも関わらず。

BMWビジョン・ノイエ・クラッセ
BMWビジョン・ノイエ・クラッセ

初代から、優れた動的能力と製造品質、一級といえる人間工学、上品でハンサムなスタイリングなどが貫かれている。歴代の3シリーズは、審査員の高得点を得るのに不足なかったのではないかと、筆者は思う。

2025年に、3シリーズはモデルチェンジを迎える。バッテリーEVへ一新される予定だが、今度こそ欧州COTYの受賞はあるだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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