皮肉な初代「ロードスター」エンジン ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(2) FFの可能性を証明

公開 : 2024.03.09 17:46

ロータス・シャシーの輝きを保つ

今回ご登場願ったレッドのキアエランは、英国のヘリテージ部門が管理する車両。過去には一般に販売された経歴を持つそうだが、現在の走行距離は1万8000km足らず。状態は素晴らしい。

見た目はロータス時代とほぼ同じながら、インテリアにはキア独自の改良が与えられている。デジタル時計が省かれた一方、小物入れは増やされている。

キア・エラン(ビガート/1996〜2000年/韓国仕様)
キア・エラン(ビガート/1996〜2000年/韓国仕様)

S2までレザー張りだったシートは、中央部分が1990年代らしい柄のクロス張りに。エアバッグ内臓のステアリングホイールは、既存品でエランには大きすぎるようだ。

サスペンションにも変更を受け、車高は40mm持ち上げられているが、キア・エランもロータス・シャシーの輝きを保っている。乗り心地はしなやかで、フロントタイヤのグリップ力は高い。

1996年に、AUTOCARは英国での試乗を計画しているが、1997年にキアは経営破綻。S2より遥かに安価に提供できていたものの、2度復活したM100型の生産も、完全に終了してしまった。

FFスポーツカーの可能性を証明

M100型の2代目エランは、ロータスを名乗るのに不足ないと筆者は思う。しかし、このブランドを求めた層に、合致するモデルではなかったのだろう。

開発技術者のロバート・ベッカー氏は、90%のドライバーが90%のパフォーマンスを発揮できるよう、エランを設計したと説明している。「ドライバーが、本当の能力を簡単に楽しめるように」。と。

ガンメタリック・グレーのロータス・エラン S1と、ロイヤル・ブルーのS2、レッドのキア・エラン
ガンメタリック・グレーのロータス・エラン S1と、ロイヤル・ブルーのS2、レッドのキア・エラン

しかし、ニッチなブランドのスポーツカーを購入したいと考えるドライバーは、それ以外の10%に該当したといえた。M100型は、GMが自らのブランドで提供するべきモデルだったのかもしれない。

少なくとも、ロータスがFFスポーツカーの可能性を証明したことは間違いない。ホットハッチ・ライクな操縦性がお好みなら、一度ステアリングホイールを握ってみて欲しい。今でも、お買い得なロータス製スポーツカーというポジションに、変わりはないから。

ロータス・エラン M100 3世代のスペック

ロータス・エラン SE(S1/1989〜1992年/英国仕様)

英国価格:1万9850ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約279万円)以下(現在)
生産数:3855台
全長:3802mm
全幅:1735mm
全高:1229mm
最高速度:220km/h
0-97km/h加速:6.7秒
燃費:11.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1020kg
パワートレイン:直列4気筒1588cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:165ps/6600rpm
最大トルク:20.2kg-m/4200rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

ロータス・エラン(S2/1994〜1995年/英国仕様)

英国価格:2万4500ポンド(新車時)
生産数:800台
最高速度:214km/h
0-97km/h加速:6.7秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
最高出力:155ps/6000rpm
最大トルク:20.1kg-m/4200rpm
※:S1と異なる部分のみ

キア・エラン(ビガート/1996〜2000年/韓国仕様)

英国価格:2万4500ポンド(新車時)
生産数:792台
最高速度:214km/h
0-97km/h加速:7.4秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1070kg
パワートレイン:直列4気筒1793cc 自然吸気DOHC
最高出力:137ps/6250rpm
最大トルク:15.7kg-m/5500rpm
※:S1と異なる部分のみ

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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