「積極的」に選びたくなる濃い個性! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 新型EV版登場

公開 : 2024.03.18 19:05

増えた車重を補うツインモーターの動力性能

例えば、タイムレス・モードを選択すると、タッチモニターには1959年のモーリス・ミニ・マイナーを模したスピードメーターが描かれる。駆動用モーターの回転へ連動して再生されるノイズも、小さな4気筒エンジンを想起させるものへ変化する。

ちょっと安っぽいギミックかもしれない。だが、不快に感じるほどではない。

ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(欧州仕様)

試乗車のインフォテインメント・システムには、僅かなバグが残っていた。カントリーマンの体験を左右するだけに、早期の改善が待たれる。

ツインモーターの動力性能はたくましく、内燃エンジン版から450kgも増える車重を巧みに補う。ちなみに、シングルモーター版では300kg増しになる。

ゴーカート・ハンドリングを追求しているだけあって、乗り心地は硬め。それでも、20インチ・ホイールを履いていても、内燃エンジン版のカントリーマン JCWよりしなやかに路面の凹凸を均していた。

同様に、ステアリングホイールの反応は、そこまでシャープではない。とはいえ、このクラスのSUVとして動的なバランスは高い。オリジナルのミニのように、ラリーステージを痛快に駆け巡ることはなくても、iX2より運転は楽しいように思う。

回生ブレーキは、ブレーキペダルを踏まずに停止もできる、ワンペダル・ドライブへ対応。前方の状況などをクルマに判断させ、自動的に強さを調整させることもできる。だが、iX2のようにドライバーが任意に調整できるパドルはない。

運転したいと思わせる魅力的な個性

先述のエクスペリエンス・モードを切り替えると、アダプティブダンパーの硬さに加えて、ステアリングや駆動用モーターのレスポンスも変化。運転体験の幅を広げる。

グリーン・モードは、いわゆるエコ・モード。タッチモニターにハチドリのイラストが描かれ、環境に優しい状態だと訴える。それ以外に、スポーツに相当するゴーカート・モードと、ノーマルに相当するコア・モードが用意されている。

ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(欧州仕様)

今回試乗したルートは、ポルトガル郊外の一般道だったが、電費は平均で5.4km/kWhとなった。ミニが主張するカタログ値は5.7km/kWhだから、かなり近い数字といえるが、クラストップの効率ではない。

シングルモーターのカントリーマン Sの方が、英国価格は5000ポンド(約95万円)安く、航続距離は29kmほど増える。こちらの方が、ベター・チョイスかもしれない。

ちなみに、充電の待ち時間が退屈だというドライバーのために、タッチモニターでゲームをプレイできる。試乗車にはラリー・ゲームがインストールされていたが、トヨタ・セリカ GTフォー ST205で楽しませてもらった。

俯瞰すると、ライバルへ明確に勝る数字はスペック表に並んでいないかもしれない。しかしそれは、カントリーマン SE オール4での運転体験のすべてを表現するものではない。

心地良く楽しく、好印象にポップ。魅力的な個性が、積極的に新しいミニを運転したいと思わせる。

ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万9680ポンド(約939万円)
全長:4433mm
全幅:1843mm
全高:1656mm
最高速度:178km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:432km
電費:5.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2000kg
パワートレイン:ツイン励起同期モーター
バッテリー:64.7kWh(実容量)
急速充電能力:130kW
最高出力:313ps
最大トルク:50.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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