スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない

公開 : 2024.03.23 20:25

内装 ★★★★★★★☆☆☆

外装でも触れたように、キャビンも快適性や洗練度を高める細部の改良が数多く実施された。ドライビングポジションを最適化するためには、ドライバー周りの空間を数cm単位で拡大。シートの設計も巧妙になり、サポート性向上だけでなく、ヘッドトスの軽減も図られた。

着座位置はやや高めだが、とくにSUV的というわけではない。前席のレッグルームは広く、ヘッドルームもまずまず。ウインドウの面積が大きく、ピラーの太さが控えめなので、全方位とも視認性は上々だ。

スバルの最新ラインナップに共通する、縦型ディスプレイが目を引く。これに扱いやすいショートカットや実体ダイヤルを組み合わせ、高い操作性を実現している。
スバルの最新ラインナップに共通する、縦型ディスプレイが目を引く。これに扱いやすいショートカットや実体ダイヤルを組み合わせ、高い操作性を実現している。    JACK HARRISON

室内の雰囲気はいかにもスバル車だが、このクラスのハッチバックと大きく違うのは実体スイッチが少ないこと。とはいえ、エアコンやシートヒーター、ミラー調整やトリップコンピューターといった、頻繁に使う機能は扱いやすいので、これは実用的なアプローチだと言える。

やや古臭く感じるのは、アナログメーターと、11.6インチディスプレイに用いられたグラフィックや90年代風フォントのせいだろう。しかし、もろもろ省略してデジタル化を進めた他社の最新デザインより、このほうがずっと受け入れやすいのもまた事実だ。

マテリアルのクオリティはおおむね立派なものだが、グレーのパーツに仕上げでリッチさを加え、硬くてプレーンなプラスティックより立派に見せようとした試みが成功しているとは言い難い。少なくとも、プレミアム感は見出せないだろう。

後席はなかなかの広さだ。われわれの計測法では、レッグルームはフォルクスワーゲン・ゴルフの8代目を40mm上回る。ただし、ヘッドルームはわずかながらゴルフVIIIに届かない。

荷室の前後長と幅は、このクラスのハッチバックの水準を超えるのだが、深さがやや足りない。これはハイブリッドシステムにより、床下の収納スペースが占拠されているせいだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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