スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない

公開 : 2024.03.23 20:25

結論 ★★★★★★★☆☆☆

スバル・クロストレックは、一般的なファミリーハッチバックよりスキの多いクルマかもしれない。広さや快適さ、便利さはあるとしても、キャビンのデジタル技術やプレミアム感で際立つところがあるわけではないし、速さや経済性でも強みを発揮できてはいない。かつてのスバル車を特徴づけたような、走りの魅力で勝負できるクルマでもない。

そうは言っても、中型ハッチバックをベースとしながら、路面や天候を問わない並外れたトラクションを求めたモデルとなると、これを超えるものはまずない。ウェットコンディションでも、荒れた道でも無事に走れて、雪道や冠水路でも苦にせず、日常的に悪路を走るようなユーザーのニーズに応えてくれるレアなクルマだ。

結論:ガラリと変わったわけではないが、小型オフローダーが身につけた新たなマナーは歓迎したい。
結論:ガラリと変わったわけではないが、小型オフローダーが身につけた新たなマナーは歓迎したい。    JACK HARRISON

コンパクトSUVで代用が効いてしまうのは事実だし、もっとパワフルで魅力的なパワートレインがほしかったというのも本音だ。とはいえ、われわれとしてはこうしたニッチなクルマが存在してくれることを歓迎したい。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

北米仕様にあるウィルダネス仕様は、さらに地上高が高く、ルーフテントが装着できるルーフレールや、オフロード用のローギア設定、185psの2.5Lエンジンを採用。右ハンドル仕様での導入を望みたい。

リチャード・レーン

オフローダーにはオフロードメーターがほしいと思う。たいして必要性の高くないときでもだ。高速道路への合流であっても、ロール角や登坂角を表示してくれるのは楽しい。

オプション追加のアドバイス

純正ナビやシフトパドル、サンルーフは不要だが、ホイールは17インチを堅持したいので、選ぶべきグレードは下位のリミテッド。ボディカラーのおすすめは、オフショアブルーメタリックだ。

改善してほしいポイント

・インフォテインメント系のビジュアルはアップデートを。それだけで、システムの評価を大きく損ねてしまっている。
・EVモードのボタンがほしい。200m程度でも、冠水した道路でエンジンを切れるとしたら意味がある。
・もっとパワフルなエンジンを積んでほしい。オン/オフ問わない万能性を訴求するのに、136psでは物足りない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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