スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない

公開 : 2024.03.23 20:25

走り ★★★★★★☆☆☆☆

加速性能の公称値は0−100km/h=10.8秒、実測値は0-97km/h=10.4秒。いずれにしても、エネルギッシュなパフォーマンスを感じさせるものではない。3万5000ポンド(約665万円)級のハッチバックの水準より2〜3割遅いのはともかく、それ以外にも遅く感じることがあるのはトランスミッションの機能の仕方による。オフロード走行が多いなら、それも許せるだろうが。

CVTには、オンロードでの洗練性やドライバーが感じる一体感、全般的なドライバビリティに関して、主観的には改善を期待したいところもあるが、オフロードでの機能面は上々だ。

控えめなパワーとCVTは、加速テストで優秀な成績を残せるものではないが、日常使いで遅いと感じることはあまりない。
控えめなパワーとCVTは、加速テストで優秀な成績を残せるものではないが、日常使いで遅いと感じることはあまりない。    JACK HARRISON

データを見れば、ミラクルが起きるようなメカニズムでないことは明らかだ。元気に走らせようとすると、このクロストレックはややアンダーパワー気味に感じる。とくに、トランスミッションのマニュアルモードを使うとそうだ。中間ギア比の低めなほうはあまりないくらい高めの設定で、駆動系はそこそこ太い中回転域トルクを受け止めつつも、それほど速さを発揮してはくれない。

マニュアルモードの3速で計測した80−113km/h加速は8.4秒で、4.3秒だったゴルフ1.5eTSIの倍近いが、固定ギア比での加速というのは、このトランスミッションの想定する使い方ではないことを勘案するべきだ。Dレンジでは、1〜2速相当のギア比でやや回転が高くなりすぎるものの、3速相当程度から上なら80km/h以上で普通に走らせていれば、性能テストから予想するほど遅いということはない。

日常的な2点間移動であれば、クロストレックの走りはなかなかのものだ。ただし、かつてのスバルのボクサー4ほど速さやスポーティさで勝負するわけではなく、個性が強いわけでもない。経済性も特筆するほどではない。ハイブリッドの恩恵はさほど大きくはない。

電動機械式のブレーキサーボはちょっとクセがあり、クルマが冷えているとペダル操作に対して効きすぎる。しかし、温まってくると改善し、履いているタイヤのわりにはなかなかの制動距離を実現する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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