色気の雫が落とされたレーシー マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション

公開 : 2024.04.07 20:25

欲しいのはサービス精神ではなく一体感

低回転でトルク、ターボが本領を発揮する高回転域ではパワーが弾けるネットゥーノは相変わらずすばらしいエンジンだと感じた。過給のありなしに関わらず、自然吸気エンジンのようなレスポンスを示してくれるのだ。

だが630psものアウトプットを誇るエンジンを「自信をもって踏ませてくれる」のはシャシーの功績に違いない。カーボンモノコックのミッドシップスーパースポーツというとパッと思い浮かぶ比較対象はマクラーレンになると思う。

マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション
マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション

だが例えチェロのサスペンションセッティングをソフトにしても、スポーツシリーズのマクラーレンほど乗り心地は良くない。絶えず路面のザラザラ感を伝えてくるし、高速道路の継ぎ目からの入力がそのままダイレクトに伝わってくる時もある。

でもそれはエンジンが時おり発する不協和音と同じように、レーシングライクな味つけなのだと解釈したい。

もちろんスイッチ操作ひとつで雲に乗ったような乗り心地からF1マシーン風のダイレクト感まで瞬時に替えられたら夢のようだが、純粋なスポーツカーがそこまでサービス精神に富んでいる必要はないと思う。それよりもドライバーの意思を105%くらい、微かに盛って表現してくれるドライバビリティの方がよほど重要だと思う。

MC20と同じように今回のチェロも、ちゃんと飛ばして走った時にハッキリと“ゾーンに入った!”と感じられる、一体感溢れるドライバビリティの持ち主だったのである。

試乗車のスペック

価格:4438万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4670×1965×1215mm
最高速度:320km/h以上
0-100km/h加速:3.0秒以下
駆動方式:MR
車両重量:1750kg
パワートレイン:V型6気筒DOHC2992cc+ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.44kg-m/3000~5750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:245/35ZR20(フロント)305/30ZR20(リア)

マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション
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記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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