いよいよステーションワゴン登場! BMW i5 ツーリングへ試乗 万能道具感は先代を超えず?

公開 : 2024.06.14 19:05

BMW 5シリーズのEV版、i5にステーションワゴン登場 豊かなトルクを安楽に展開 優雅な乗り心地 先代より荷室は縮小 航続距離は約540km 単体での印象は素晴らしい 英編集部が評価 

安楽で豊かなトルク 優雅な乗り心地

ドイツ・ミュンヘン北部に位置する、BMWガルヒング・テストセンター。そこからほど近い公道で、BMW i5 ツーリングのステアリングホイールを握る。バイエルン州の自動車メーカーが描く、ファミリー・ワゴンの理想形のようなモデルだ。

無表情なオフィスビルは見えない。絵葉書になりそうな、美しい集落が森林地帯に点在している。初夏を告げる太陽は眩しい。ドイツ特有の程よい起伏が続く大地へ、滑らかに曲線を描く道が続いている。

BMW i5 ツーリング eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 ツーリング eドライブ40(欧州仕様)

i5 ツーリングは、大きな荷室と走りが自慢の、BMWが30年近く熟成を重ねてきたモデルの最新作。バッテリーEVだから、静寂性は過去1番といっていい。

今回のBMWは、なかなかのファインプレーだった。まだ選択肢の少ない、バッテリーEVのステーションワゴンで、ライバルに先陣を切ったからだ。自ずと注目度は高まるし、筆者も心を奪われそうになった。

アウディA6 e-トロンの正式発表は、もう少し先になる見込み。ポルシェタイカン・スポーツツーリスモは、実用的なステーションワゴンというより、スタイリッシュなシューティングブレーク側にある。

豊かなトルクが、極めて安楽に展開される。乗り心地は優雅といえるほど上質。走行中の車内には、優しい合成音が奏でられる。

アダプティブ回生ブレーキは、かなり優秀。交通状況や交差点の接近などを予測し、巧みに運動エネルギーを電気エネルギーに変換してくれる。惰性走行できるモードがあれば、もっと望ましい。

先代より荷室は縮小 航続距離は540km前後

今回試乗したi5 ツーリング eドライブ40は、全長が5060mm、全幅は1900mm、全高が1515mmと大きい。それでも、絵に書いたように素晴らしい道で、至って扱いやすい。一流の仕上がりにあることは明らかだ。

ただし、べた褒めできるわけでもない。内燃エンジンで走っていたG31型5シリーズ・ツーリングと比較して、ひと回り成長したにも関わらず、荷室容量は拡大していない。具体的には570Lだ。

BMW i5 ツーリング eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 ツーリング eドライブ40(欧州仕様)

車重も指摘したい。サルーンのi5 eドライブ40は、2130kgだった。i5 ツーリングでは、ボディ後方が持ち上げられたことで50kg増え、2180kgある。それを、340psの最高出力が受け止める。

最上級のM60 xドライブを選ぶと、四輪駆動化に必要な2基目のモーターが追加され、後輪操舵システムとアクティブ・アンチロール バーも実装。更に増えることになる。

その最高出力は601psもあり、0-100km/h加速は3.8秒でこなす。だが家族を乗せ、荷物を積めば2.7tを超えるだろう。

駆動用バッテリーの容量は81.2kWh。航続距離は、後輪駆動のeドライブ40で540km前後と悪くない。とはいえ、感心するほどの長距離を走れるわけでもない。

フォルクスワーゲンID.7のステーションワゴンは、1度の充電で600km前後走れるという。荷室の容量も僅かに広い。追ってライバルに加わるA6 e-トロンは、さらに大容量のバッテリーを積むことがわかっている。比較試乗を予定しているが、待ち遠しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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