「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 長期テスト(1) 路面の管理状態の悪さを実感

公開 : 2024.06.16 09:45  更新 : 2024.09.11 10:32

M謹製の直列6気筒ターボを積んだ稀代のコンパクト・クーペ、M2 ひと回り拡大した正統派モデル あえて売れ筋のATを選択 普段使いの印象は? 英国編集部が長期テストで完成度を確認

初回 盛りすぎ感も漂うG87型M2クーペ

シンプルさを追求しつつ、過剰さも求めることは難しい。これから筆者が長期テストで付き合うことになる、最新のG87型BMW M2は、不思議なことにそれを叶えたモデルのように思える。

BMWのMモデルは拡大を続け、大型SUVでプラグイン・ハイブリッドのXMも登場した。本家のBMWも、バッテリーEVのiXがフラッグシップの一角をなしている。そんな中で、内燃エンジンのみで走る従来的な2ドアクーペには、どこか落ち着く魅力がある。

BMW M2 クーペ(英国仕様)
BMW M2 クーペ(英国仕様)

ただし新しいM2は、現実的にはそこまで小さくないし、シンプルでもない。痛快だったM1の後継モデルというより、拡大したM3の弟といった方がしっくり来る。

先代の2シリーズ・クーペは、ハッチバックの1シリーズと後輪駆動プラットフォームを共有していた。だが、戦略上の理由で1シリーズは前輪駆動へ変更。クーペの2シリーズへ転用できる好適なプラットフォームは、3シリーズ用のCLARになってしまった。

そのため、新しいM2の全長は4580mmある。全幅も1887mmだ。

エンジンは、従来どおり3.0L直列6気筒。ツインターボ化で、最高出力は459psまで高められている。果たして、ちょっと盛りすぎ感も漂うクーペが完成した。

たとしても、2シリーズ・クーペと究極のM2が、2024年に生き残っているという事実は喜ばしい。BMWが、内燃エンジンのドライバーズカーにも、まだ情熱を注げることを証明するものだから。

日常的な足としての印象は? ギアはATを選択

仕上がりは素晴らしい。実際、辛口なAUTOCARの詳細テストでも高評価を獲得している。マニュアル・トランスミッションを搭載したモデルによる比較試乗でも、ライバルを抑えてトップの結果を残している。

では、長い期間を過ごした時の印象はどうだろう。M2は週末を謳歌するためのスポーツカーとしてだけでなく、通勤や買物など、日常的な足としても使われることが想定されている。ひと回り大きくなり、実用に耐えるリアシートがあり、荷室も狭くはない。

BMW M2 クーペ(英国仕様)
BMW M2 クーペ(英国仕様)

M2の英国価格は、6万2420ポンド(約1248万円)から。決して安いお値段ではないが、XMの半額だとも考えられる。

オプションは悩むほど多彩。普段使いで望ましい、シートヒーターなどを得られるM2コンフォート・パッケージは730ポンド(約14万600円)で、ドライビング・アシスタント・パッケージは1100ポンド(約22万円)だ。

必ずしも必要とはいえない、Mドライバーズ・パッケージは2305ポンド(約46万1000円)。フロントが19インチ、リアが20インチのMアルミホイールは、330ポンド(約6万6000円)となる。塗装色は、落ち着いたブルックリン・グレーだ。

トランスミッションは、物議を醸すであろう、オートマティック。絶滅危惧種な、比較的小さなサイズのスポーツクーペだと考えると、マニュアルの誘惑は強い。しかし、AUTOCARでこれまで中心的に評価してきたのも、マニュアルだった。

他方、実際に買われる割合いでは、オートマティックの方が多いという。市街地では、こちらの方が付き合いやすいはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト BMW M2の前後関係

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