頼れる「仕事の相棒」が電動に! フォードE-トランジット・カスタムへ試乗 操縦性はワンボックス最高

公開 : 2024.06.10 19:05

欧州のハイエース、フォード・トランジットにバッテリーEVが登場 馬力は3段階 スポーティなMS-RTグレードも ワンボックスカーでは最高水準の操縦性 英国編集部が評価

仕事の頼れる相棒、トランジットがEVに

欧州のハイエース、中小企業を支えるフォード・トランジット・カスタムに、バッテリーEVが登場した。フォードがラインナップするワンボックスカーでは真ん中のサイズに当たり、今後数年間の内に、同社のベストセラーになる可能性が高い。

配送ドライバーから内装職人、大手企業の営業マンに至るまで、ディーゼルエンジンでタフに走るトランジットは、英国では仕事の頼れる相棒になってきた。今後は走行時にCO2を排出しない、ゼロ・エミッションのE-トランジットへ置き換わっていくはずだ。

フォードE-トランジット・カスタム L1H1(欧州仕様)
フォードE-トランジット・カスタム L1H1(欧州仕様)

フォードにおけるこのモデルの重要度は、極めて高い。優れた多様性が求められる電動バンは、商用車市場の勝敗を左右する、要といえる1台だからだ。ライバルを圧倒する実力を備えるのか、確かめてみよう。

プラットフォームは新開発。ディーゼルエンジンで走る新世代のトランジットも採用するものながら、当初からバッテリーEVとプラグイン・ハイブリッドを想定して設計されている。

ボディスタイルは、一般的な1列シートのパネルバンから、ダブルキャブ仕様、トルネオを名乗る3列ミニバン仕様まで多彩。トリムグレードも、予算に応じて幅広い。

最廉価なエントリーグレードを除いて、車線維持支援にアダプティブ・クルーズコントロール、バックカメラなどが標準装備。上級のリミテッド・グレードを選ぶと、ヒーター付きのパワーシートやLEDヘッドライトなどが付いてくる。

馬力は3段階 スポーティなMS-RTグレードも

フォードらしいのが、スポーツ・グレード。バンでも、ボンネットがレーシングストライプで飾られる。これで不満足なら、MS-RTグレードもある。派手なボディカラーとエアロキットで、一層スポーティな見た目を得られる。

働くクルマらしく、シンプルなままの見た目も好ましい。未来的なフロントグリルで、バッテリーEVであることを主張する。

フォードE-トランジット・カスタム L1H1(欧州仕様)
フォードE-トランジット・カスタム L1H1(欧州仕様)

インテリアは、ダッシュボード上の13.0インチ・タッチモニターが花形。賢明にも、頻繁に操作する主要な機能には、実際に押せるハードボタンが用意されている。エアコン関係のメニューはモニター上に常時表示され、すぐに操作できるのも好ましい。

メーター用モニターは8インチ。駆動用バッテリーの残量なども確認しやすい。

E-トランジットは、5G回線のモデムを内蔵。車両管理者は、フォード・プロと呼ばれるコネクテッド・サービスを介して、駆動用バッテリーの充電量やセキュリティ状態などを確認できる。

駆動用モーターの最高出力は、135psか217ps、285psの3段階から選択可能。最大トルクは、42.5kg-mで共通する。

コントロールユニットをモーターの後方へ配置し、省スペース化。荷室のフロアを高くせず、余裕のある最低地上高を確保している。現在は後輪駆動のみだが、四輪駆動も追って登場するという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョージ・バロウ

    George Barrow

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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