アルファ・ロメオ・ジュリアQV 長期テスト(3) 高性能なクラシックカーと遜色ない充足感

公開 : 2025.02.09 09:45

高速域でも荒れた路面ではソフトが最適

リアタイヤが、路面の落ち葉や泥で軽くスライドする。筆者が、理想通り運転できている証拠だ。ステアリングホイールの感触は、とても自然。パワフルでシャープなサルーンでありながら、我慢は強いられず、深くのめり込める。

少しオーバースピードで、直角コーナーを曲がる。素早いステアリングのマナーを確かめるが、まったく不安はない。ロックトゥロックは2.25回転。アスファルトの剥がれた穴も、身軽に避けて進める。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

英国の郊外の最高速度は97km/hだが、この速度域でもサスペンションはソフトな状態がベター。路面の凹凸を、無視できるほどになだめてくれる。

以前のジュリア・クアドリフォリオの試乗記で、滑らかな路面ではハードでも問題ないが、英国の荒れた路面ではソフトが最適だと、同僚がまとめていた。確かに、その通りといえる。

存分に味わって帰路へ。その途中、ブラックに塗られたジュリア・クアドリフォリオのオーナーが、パッシングで挨拶してくれた。素晴らしいスポーツサルーンだが、英国ですれ違うのは珍しい。もちろん、同じクルマに乗る者として、パッシングして答えた。

ただし、理想的なドライブルートではなかったように思う。残念ではない。秀抜な動的能力を持つクルマで短くない時間を過ごす明確な理由が、まだ残されているといえるから。

出発してすぐ、複数の警告灯が一斉点灯

こんな週末から数日後。バラ色のように染まったジュリア・クアドリフォリオとの記憶は、一転してくすんでしまった。翌週は、同僚のクリス・カルマーへクルマを貸す約束をしていた。午前7時の渋滞はうれしいものとはいえなかったが、笑顔で彼へ鍵を渡した。

ところが、その日の夕方にクリスからショートメッセージが届いた。AUTOCARのオフィスの駐車場を出発してすぐ、3kmほど走ったところで故障したという。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

SOSコールとエアバッグ、パーキングブレーキの警告灯が、一斉に点灯。シートベルト・センサーもエラーを出したらしい。ここまで悩ましい事態を、筆者はまだ経験していない。まったくもう、アルファったら・・。

テストデータ

気に入っているトコロ

警告灯の点灯:自分はしばらく、警告灯とはご無沙汰していた。しかし、同僚はその不運に見舞われてしまったらしい。

気に入らないトコロ

小さくない維持費:平均燃費は8.3km/L。カタログ値の9.9km/Lとかけ離れているわけではないが、褒められる燃費ではないだろう。

テスト車について

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

モデル名:アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
新車価格:7万8195ポンド(約1525万円)
テスト車の価格:8万2245ポンド(約1604万円)

テストの記録

燃費:8.3km/L
故障:ソフトウエアのエラー、バッテリー上がり
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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