ランドクルーザー 250 ディフェンダー 90 グレナディア 3台比較(2) 無骨さか上質さか

公開 : 2025.02.15 09:46

際立つ舗装路でのディフェンダーの上質さ

転じてオンロードでは、3台の能力には明確な違いがある。ディフェンダー 90の適応性の高さは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。試乗車にはエアスプリングが装備され、乗り心地はしなやか。コーナリングも驚くほど滑らかだ。

ランドクルーザー 250は、ストロークの長い4気筒ディーゼルが、小さくない音振を発する。ディフェンダー 90が積む、直6ディーゼルターボの上質さを際立たせるように。フレーム別体の構造で、先代より改善したとはいえ、乗り心地も若干落ち着かない。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

グレナディアは、オフロードへ特化したかのように、オンロードでは振るわなかった。乗り心地はソフトで、安定性は低くないけれど。

旧式な再循環ボール式ステアリングラックの影響で、直進時のすわりが甘く、正確性も高くはない。ストレートでは、常に細かくステアリングホイールを修正することになる。キツめのカーブでは、小さくない腕力も求められる。

BMW譲りの直列6気筒ガソリンターボは、充分に静かでパワフル。しかし走行中のロードノイズなどは2台より大きく、モダンさは薄い。

そんな無骨な感じが好きだ、という人もいらっしゃるはず。デザインを含めて、オフロード・マニアが好むモデルではあるだろう。過酷な悪路では、自分でマシンを操る充足感があり、走破できた時の達成感は確実に大きい。

オンロードとオフロードへの対応力の幅

グレナディアは、新しいランドローバーが世界最高水準の技術で仕上げられていることを、強調するような心象を残した。悪路だけでの評価なら肉薄するとしても、公道も走る量産オフローダーとして、ディフェンダー 90の優位性は明白だろう。

対して最新のランドクルーザー 250は、間違いなく完成度が高い。それでも、オンロードとオフロードへの対応力の幅を比べた時、妥協のないディフェンダー 90の優位性は揺るがないと思えた。

ブラウンのトヨタ・ランドクルーザー 2.8D-4D ファーストエディションと、シルバー・グリーンのランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE、ダーク・パープルのイネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0T トライアルマスター
ブラウンのトヨタ・ランドクルーザー 2.8D-4D ファーストエディションと、シルバー・グリーンのランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE、ダーク・パープルのイネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0T トライアルマスター    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ランドローバーへ成功をもたらした新世代は、この比較でもディフェンディング・チャンピオンにある。相応に、お値段も少々お高いのだけれど。

シリアスなオフローダー 3台のスペック

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

英国価格:8万3220ポンド(約1623万円)
全長:4323mm
全幅:1996mm
全高:1974mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:11.9km/L
CO2排出量:224g/km
車両重量:2241kg
パワートレイン:直列6気筒2997cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

トヨタ・ランドクルーザー 250 2.8D-4D ファーストエディション(英国仕様)

英国価格:7万7195ポンド(約1505万円)
全長:4920mm
全幅:1925mm
全高:1870mm
最高速度:164km/h
0-100km/h加速:10.9秒
燃費:9.3km/L
CO2排出量:280g/km
車両重量:2335kg
パワートレイン:直列4気筒2755cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:204ps/3400rpm
最大トルク:50.9kg-m/1600-2800rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0T トライアルマスター(英国仕様)

英国価格:7万6620ポンド(約1494万円)
全長:4856mm
全幅:1930mm
全高:2036mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:8.6秒
燃費:6.7-6.9km/L
CO2排出量:325-336g/km
車両重量:2741kg
パワートレイン:直列6気筒2998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:286ps/4750rpm
最大トルク:45.8kg-m/1750-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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