実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力

公開 : 2025.02.15 19:05

燃費とは裏腹に、上昇し続ける欧州でのSUV人気 オフロード走行は、実はサーキット走行より面白い? 趣味と実益を両立できる本気のオフローダー 英編集部の1人が語る、その魅力とは

広義的なSUVという言葉 多くの人の共感

都市向きに改良されたオフローダーといえる、SUVの人気上昇に伴い、改善したエンジンのエネルギー効率は相殺されたと、公的な機関が算出している。ちょっと難しい話だが、国際エネルギー機関(IEA)による発表だ。

大きく重いSUVは、手頃な大きさのハッチバックより燃費が悪い。過去10年間で、技術的に改良されなかったクルマへすべての人が乗り続けた場合と、同等のガソリンや軽油が消費されたと推計できるという。

執筆、マット・プライヤーが所有する初代ランドローバー・ディフェンダー
執筆、マット・プライヤーが所有する初代ランドローバーディフェンダー

ちなみに、英国で2021年に売れたSUVは、乗用車全体の50%だった。だが2023年には60%へ増えている。その傾向は、加速しているといっても良い。

SUVという言葉は、だいぶ広義的なものだ。本気のオフローダー、ジープラングラーやランドローバー・ディフェンダーにも用いられる。ハイブリッドのフォルクスワーゲンティグアンや、バッテリーEVのテスラモデルYにも用いられる。

筆者は、SUVという言葉で一括りにされることには疑問を抱いている。ラングラーとモデルYは、同じ目的で作られたクルマではない。前者は、過酷な悪路が前提。だが後者は、チャイルドシートを積みやすい車高を備えた、電動のファミリーワゴンといえる。

本物のオフローダーがカッコよく見え、悪路走行がアドベンチャー的に思えることから、それを装っただけのSUVは少なくない。前輪駆動でも、でこぼこ道が得意なように仕立てられた例もある。多くの人の共感を得られるのだろう。

実はオフロード走行が大好き 一番楽しい仕事

実は、筆者はオフロード走行が大好きだ。サーキットでの走行会と同じくらい、楽しい週末を過ごせると感じている。

むしろ、AUTOCARで最も楽しい仕事は、オフロードでクルマを運転する時。通常は、使用されなくなった採石場をお借りすることが多い。先日のランドクルーザー 250とディフェンダー 90の比較のように、客観的にテストするのは興味深い。

ピックアップトラックを救出する、執筆、マット・プライヤーと同僚
ピックアップトラックを救出する、執筆、マット・プライヤーと同僚

個人的にも、所有している初代ランドローバー・ディフェンダーで未舗装路を走る機会は多い。オフロードバイクも好きだが、怖がりだから、攻めて走ることはないけれど。

大自然にある施設や、広い土地自体の維持管理のため、仕事でオフローダーに乗ることとは区別した方が良いだろう。英国には、グリーンレーンと呼ばれる林道のようなものもあるが、そこを走ることとも異なる。これは、ちゃんと整備された道路といえる。

一方で、バイウェイと呼ばれる未舗装路もグレートブリテン島にはある。本格的なオフローダーでなければ走行が難しい区間から、普段乗りのハッチバックで走破できる区間まである。これは本当の悪路だと思うし、筆者も走るのが好きだ。

バイウェイを走ることがお好きな英国人なら、GLASSという関連協会に加入してみてはいかがだろう。多くの情報を得られるし、この悪路をわれわれが運転できるのは、彼らの活動によるところが大きい。走る権利を守ってくれている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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