アット3の弟 BYDアット2へ試乗 競合ひしめく混戦クラスへ マイク付きカラオケ機能も

公開 : 2025.02.28 19:05

速度上昇は滑らか リモート感の強いステアリング

それでは公道へ。ドライブモードはスポーツとエコ、ノーマル、スノーの4種類で、アクセルペダルとステアリングホイールのレスポンスが微妙に変化する。いずれのモードでも漸進的といえる。

車重は、電動クロスオーバーとしては軽めの1570kg。176psでも活発に加速し、0-100km/h加速は7.9秒でこなす。トルク感はモーターの回転域を問わず太く、速度上昇は滑らか。発進・停止の多い市街地で扱いやすい。

BYDアット2 ブースト(欧州仕様)
BYDアット2 ブースト(欧州仕様)

流れの速い郊外の道では、エキサイティングではないものの、何か不満があるわけでもない。一般的な流れに乗っている限り、スムーズに走れる。

ただし、アクセルペダルを踏んでから、加速が始まるまでに一拍のラグがある。ペダルを強く踏み込むと、トラクション・コントロールがガタガタと介入し、パワーも絞られがち。キビキビと先を急ぎたい場面では、気に触る可能性はあるだろう。

回生ブレーキは2段階に調整できる。強い方を選ぶと、ブレーキペダルへ触れずに速度を充分落とせる。ブレーキは強く効くが、ペダルの感触は曖昧に思えた。

ステアリングはクイックではないものの、反応は市街地を巡るのに丁度いい。だが、スポーツ・モードを選んでも手応えは軽く、情報量が少ない。幹線道路や高速道路の速度域では、リモート感が強くなるようでもあった。

高速域で目立つ風切り音は、大きなドアミラーが原因の様子。タイヤの転がり音などは、良く抑えられている。

落ち着かない乗り心地 必要条件は満たす

乗り心地はソフトだが、市街地でも若干落ち着かない。路面がうねるような区間ではボディが大きく揺れ、安定性にも影響が及ぶ。実際の車重以上に、旋回時のロールや加減速時のピッチも大きい印象。もう少し、姿勢制御には締まりが欲しい。

小回りはかなり利き、最小回転半径は5.2m。1クラス小さいSUVへ匹敵する数字だ。

BYDアット2 ブースト(欧州仕様)
BYDアット2 ブースト(欧州仕様)

英国価格は、約2万7000ポンド(約527万円)からが想定されている。先日、試乗レポートをお伝えしたe-C3 エアクロス・マックスは、2万4990ポンド(約487万円)。6年間か14万4000kmの保証が付くとはいえ、価格競争力が高いとはいえないだろう。

混戦のファミリー・クロスオーバー市場へ投入される、アット2。高効率なヒートポンプ式エアコンが標準など、装備は充実している。車内は広く、実用性も低くはない。都心での利用が中心なら、選択肢に加える価値はあるかもしれない。

しかし、操縦性や乗り心地などはクラスの平均に届かず、全体的な運転体験が魅力的なものとはいいにくい。321kmの航続距離や、65kWの充電能力も、周囲を凌駕するものとはいえない。競合モデルを検討する人を、振り向かせるのは簡単ではないだろう。

◯:市街地での扱いやすさ 充実した装備 快適な車内
△:全体的な洗練性が今ひとつ 長くはない航続距離 高速域での風切り音

BYDアット2 ブースト(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万7000ポンド(約527万円/予想)
全長:4310mm
全幅:1830mm
全高:1675mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.9秒
航続距離:312km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1530kg
パワートレイン:非同期モーター
駆動用バッテリー:45.1kWh
急速充電能力:65kW
最高出力:176ps
最大トルク:34.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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