【やっと死の谷超え?】トヨタ、ホンダ次世代型燃料電池システム初公開の場で見聞きしたこと

公開 : 2025.02.26 06:05

いまだに『死の谷』はこえていない?

さて、筆者は2000年代初頭から、日本、アメリカ、欧州、そして韓国で燃料電池車の研究開発の現場を定期的に巡り、また自動車メーカー各社が市場導入した歴代燃料電池車を各社のテストコースや公道で数多く試乗してきた。

また、世界最先端の水素研究施設を有する、福岡県の国立九州大学伊都キャンパスで水素研究の課題について研究者らと意見交換してきた。そうして中で、いつも話題にのぼってきたのが『死の谷超え』の時期だ。

トヨタの第三世代燃料電池は、乗用車向け、大型商用車向け、汎用向け(写真)の3タイプを展示。
トヨタの第三世代燃料電池は、乗用車向け、大型商用車向け、汎用向け(写真)の3タイプを展示。    桃田健史

ここで言う『死の谷』とは、商品が研究開発か段階から初期的に市場導入され、そこから安定した普及期に入るまでに、需要と供給のバランスが成り立つギャップがあることを指す。

EVも長きに渡り、死の谷超えができなかったが、日産リーフ三菱自i-MiEVによってEVの本格的量産が始まり、テスラモデルS/X、モデル3/Y、さらに中国のBYDなどが大ブレイク。充電インフラの拡充や、電池のコストがあり、それらはいまでも社会課題ではあるものの、EVは一気に死の谷を越えた。

一方で、燃料電池車の場合、EVで使う電気のような一般化しているエネルギーとは違い、水素を燃料とすることから、充填インフラの整備と、水素生成が大きな課題だ。

そのため、トヨタを中心としたCJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジー)では、水素の『つくる・はこぶ・つかう』について様々な研究開発を進めているところだ。それでも、各方面の水素関連事業者らからは「水素事業の将来性には不確定要素が多い」という声が耐えない。

日系ビッグ2、トヨタとホンダの次世代燃料電池登場により、燃料電池は死の谷を超えるのか? 今後の動向を注視したい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事