日産の高度成長期を支えた生産拠点がEV電池の聖地に!【AESCジャパン座間工場訪問記】

公開 : 2025.02.28 07:05

今後のEV市場の行方

一連の工程は、細かくデータ管理しており、化学反応に影響を及ぼす湿度・温度の変化への対応について、同社の知見が集積していることが分かった。

AESCジャパンでは、NMC(3元系リチウムイオンバッテリー)の他、近年需要が急拡大している定置型電源向けにLFP(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)の生産も強化しているという。現状で、同社のグローバル生産において、NMCとLFPはほぼ半分ずつだ。今後は、LFPはエネルギー密度の引さも技術的に解消されて、EV市場の主要トレンドにあると、AESCジャパンでは予想している。

モジュール組み立ての様子。
モジュール組み立ての様子。    AESCジャパン

今回の視察では、同社幹部による各種のプレゼンテーションがあった。その中で、EV市場動向についても詳しく触れた。

それによると、中長期的にはEV市場は拡大することが確実視されているものの、主要な国や地域でのEV販売台数はここへきて若干の減少傾向に触れている状況をグラフで示した。

これは、欧州では、欧州グリーンディール政策の政策パッケージ『Fit for 55』の実効性に対する各国の課題認識や、ドイツがEV購入補助金を停止等が影響している。また、アメリカではトランプ第二次政権により、バイデン政権が実施したIRA(インフレ抑制法)動向の不確かさなど、様々な政治的な要因が背景にあることが分かる。

また、経済安全保障の観点では、材料の採掘や精錬などバッテリーサプライチェーンの中国依存度が大きいことも分かる。そのため、日本を含めて国や地域で地産地消型のバッテリーサプライチェーンの構築を強化していると、AESCジャパンでは分析している。そのほか、PHEV(プラグインハイブリッド車)については、中国市場で謙虚な成長が見られるなど、当面は成長率が高まると見る。

今回は、貴重な体験としてGEN4の電池製造工程の一部を見たが、次回は最新設備を有する茨城工場でGEN5の製造工程を拝見したいものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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