コルベット直系のLS1 ヴォグゾール・モナーロ(1) オーストラリア横断に好適なビッグクーペ

公開 : 2025.03.29 17:45

V8エンジンはコルベット C5と同じLS1

ヴォグゾール・モナーロ 5.7 V2 IIIの発売は、2004年5月。シボレー・コルベット C5と基本的に同一の、オールアルミ製プッシュロッド式5.7L LS1ユニットをフロントに載せ、2万8650ポンドでショールームに飾られた。

今回ご登場いただいた4台の内、リアウイングレスでシルバーの1台がそれ。18インチの5スポーク・アルミホイールまで、完全なオリジナル状態が維持されている。現在は、英国のオールテレーン・オートモーティブ社の店頭に華を添えている。

ヴォグゾール・モナーロ 5.7 V2 III(2004年/英国仕様)
ヴォグゾール・モナーロ 5.7 V2 III(2004年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ポンティアックGTOとして北米でも販売されたが、彼の地ではスタイリングがシンプルすぎると批判された。確かに、今見ても個性は薄い。主張は控え目で、鮮明に印象を残す造形とはいいにくいだろう。それでも全幅は2010mmもあり、存在感は相当強い。

広々としたインテリアも、落ち着いた雰囲気。ダッシュボードを中心に、ブラックのプラスティックがふんだんに用いられている。エアバッグを内蔵するため、ステアリングホイールのボス部分が膨らんでいる。いかにも、1990年代の車内だ。

メーターパネルには、速度と回転の他に、水温と燃料という4枚のアナログメーターが並ぶ。シートは電動で角度調整でき、大柄で柔らかく、座り心地が良い。自分の身長が縮んだように感じられるほど、ゆとりがある。後席側も。

オーストラリア大陸の横断に最適な余裕

オーストラリア大陸を横断するような場面で、大きなモナーロは最適だろう。路面がうねるような区間では、マルチリンク式サスペンションで支えるリアタイヤが若干暴れるものの、乗り心地は素晴らしい。

ステアリングホイールやペダルには、適度な重みがある。トランスミッションは6速マニュアルで、シフトレバーは短く、コクコクと決まる。ステアリングレシオは程よくショートで、フロントタイヤとコミュニケーションを図りやすい。

ヴォグゾール・モナーロ 5.7 V2 III(2004年/英国仕様)
ヴォグゾール・モナーロ 5.7 V2 III(2004年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

グリップ力が高く、コーナリングは流暢。トラクション・コントロールをオフにすると、太いグッドイヤー・イーグルF1が容赦なくスライドし出す。推移は漸進的だから、手に負えなくなる可能性は低いだろう。

コルベット C5由来のスモールブロックは、333psと47.3kg-mを発揮。4000rpm以上へ引っ張ると、モリモリとパワーがみなぎる。サウンドは控えめだが。

ギア比はかなりロングで、6速に入れると1000rpm当たり71km/h。高速道路の速度域なら、アイドリングより少し高いところで処理できる。その気になれば、10.0km/L以上の燃費を得ることも難しくない。

この続きは、ヴォグゾール・モナーロ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヴォグゾール・モナーロの前後関係

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