フェラーリ250 GT SWB エアロダイナミコ(2) 深く落ち着き、華やかに煌めく サウンドとスピードの虜

公開 : 2025.04.12 17:46

クリーミーに6000rpmまで吹け上がるV12

V12「コロンボ」ユニットは、威厳ある爆発音で始動。トリプル・ウェーバーが送るガソリンと調子が合うまで、少しの時間を要する。シフトレバーは重く、ノブをしっかり握る必要がる。クラッチはスプリングの効きが強い。だが、どちらも滑らかに動く。

トルクは太く、発進はアイドリング+αの回転数で充分。内部の温度が上昇するほど粘り強さが増し、スピードを開放したくなる。

フェラーリ250 GT SWB クーペ・エアロダイナミコ(1962年式/欧州仕様)
フェラーリ250 GT SWB クーペ・エアロダイナミコ(1962年式/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

カーブを描くフロントガラスを支える、スーパーファストIIIへ影響を受けた細身のピラーは、風切り音を最小限に留める。ガラスエリアが広く、見晴らしが良い。貼り直されたばかりのラバーシールが、少しきしむ。

レザーシートは大柄で柔らか。身長180cmを超える筆者には少し窮屈だが、フェラーリとの一体感が徐々に深まる。ストロークの長いアクセルペダルを傾けると、吸気ノイズと排気ノイズを重ねつつ、クリーミーに6000rpmまで吹け上がる。

サスペンションは減衰力に優れ、シャシーはタイト。短いホイールベースのおかげで、ステアリングは繊細に反応する。第一印象は少し神経質ながら、臆せず操舵すれば、リアアクスルは安定して追従する。

ディスクブレーキの効きも頼もしい。感心するほど強力ではないが、フェンダー後方のエアベントから、熱気は効果的に排出されているはず。

サウンドとスピードの虜だったに違いない

エンジンは軽くなく、フロントアクスルへかかる荷重は小さくない。高めの速度域からカーブの入口でブレーキペダルを蹴飛ばすと、ステアリングは重く転じる。幅185と細身のピレリ・タイヤは、こらえきれずアンダーステア。隆起部分の影響も受けやすい。

しかし、速度調整を計画的に済ませれば、ショートホイールベース・フェラーリの好バランスを味わえる。アクセルペダルの角度でノーズの向きを調整でき、リアアクスルはストレートめがけたスタンスを保ちやすい。

フェラーリ250 GT SWB クーペ・エアロダイナミコ(1962年式/欧州仕様)
フェラーリ250 GT SWB クーペ・エアロダイナミコ(1962年式/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

行く先の景色が見えたら、慎重に3速へ。地平線の向こうを貪欲に探求するように、パワーとサウンドが解き放たれる。

V12エンジンの咆哮とともに、加速は夢見心地。風景画のように美しい景色が、高速で後方へ流れていく。4速は選ばず、濃密な時間を堪能させてもらう。

ガッタも、このサウンドとスピードの虜だったに違いない。300km/hまで振られたスピードメーターの針が、静かに高い位置を指し続ける。我へ返った頃には、遠くの目的地へ到着していた、という夕方も恐らく少なくなかっただろう。

協力:ライトカー・カンパニー

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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