【詳細データテスト】ポルシェ911 適度なハイブリッド GT3に次ぐ走り 公道ではベストな911

公開 : 2025.03.29 20:25

走り ★★★★★★★★★★

凍てつくようなコンディションのテストコースで、このクルマのローンチコントロールは苦戦した。リアの太いグッドイヤーは効果的なはずだが、1速のトップエンドまではコントロールに手こずった。しかし、タイヤが温まれば、ローンチコントロールとトルクベクタリングLSDは自分お仕事をこなし、みごとな加速タイムを記録した。

0−97km/hの最速は2.75秒で、もっと暖かい日にハイグリップなミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rを履いてテストした296GTBに匹敵した。リアエンジンのトラクションがあるとはいえ、ターボ以外の911では驚きのタイムだ。

加速性能は格上のクルマに匹敵し、制動距離はライトウェイトなサーキットマシン並み。自然吸気並みとはいかないが、デリバリーはリニアだ。
加速性能は格上のクルマに匹敵し、制動距離はライトウェイトなサーキットマシン並み。自然吸気並みとはいかないが、デリバリーはリニアだ。    JACK HARRISON

161km/hは6.3秒で、フェラーリには1.2秒のビハインドだが、665psのヴァンテージより0.7秒速い。911らしいジャイアントキリングぶりだ。

最新のGT2RSと比較すると、0-1000mは0.4秒遅れだが、48−113km/hのキックダウン加速はほんの0.1秒差だ。GT2RSがもっといいコンディションで、セミスリックを履いてのテストだったことを考えれば、現実的にはGTSのほうが速いかもしれない。

リアルな状況では、数字以上に3.6LのT−ハイブリッドが印象的だ。回りはじめから、3.0Lの小径ツインターボより素早く回転し、加速時のスロットルレスポンスは、高性能の自然吸気エンジンのようなフィールとはいかないが、2000rpm台半ばからは6.0L自然吸気V12を思わせる。

3591cc以上の排気量を感じさせ、ツインターボのカレラがコンスタントなシフトチェンジに依存することがあまりないのに対し、ハイブリッドのGTSはどんなときもほどほどの距離で変速する。

4速での48−113km/hは、2020年モデルのカレラSが5.3秒で、GTSが4.7秒。最新のターボSと比較しても0.2秒凌いでおり、新型3.6Lユニットの濃密なデリバリーはリニアさでも上を行く。

8速DCTも強化され、GT3のPDKスポーツほど切れ味鋭くはないが、じつによくできたトランスミッションで、低速のドライバビリティにも欠点はない。ギア比設定もよく考えられていて、2速でのレッドラインは106km/hだ。

3速では156km/hに達するが、7500rpmのうち3.6Lユニットがベストな仕事をするのは低〜中回転域だ。力強さがもっとも際立ち、カレラ系がターボ化されてから失われたようなサウンドも楽しめる。

ステアリングスポークにぶら下がったロータリーセレクターを使えば、パワートレインの基本的なキャラクターを変化させることもできる。ノーマルと、もっとも過激なスポーツプラスの差は明確だ。セレクターの中央には赤いボタンがあり、20秒間のみフルパワーを引き出せる。

ほかのパフォーマンス系ハイブリッド同様、ターボとギアボックスのモーターによる電力ブーストも使える。サーキットの全開走行を長く続ければ、バッテリーを使い切ることもあるだろうが、公道では充電量が半分以下になることはなかった。ハイブリッドであることも、意識しなければ気づかないくらい、作動は穏やかだ。

ブレーキもみごとだ。GTSはカレラの中でも重いほうだが、このクラスでこれ以上の制動力を持つクルマはない。113km/hからの制動距離は39m未満で、軽量なサーキットスペシャル並みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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