フェイスリフトで一層輝くG87 BMW M2へ試乗 S58直6は20ps上昇 レアなMTとの組合せ

公開 : 2025.04.14 19:05

極めてレアな多気筒エンジン+MT

実のところ、M240iが搭載する3.0L直6ターボの方が、個性的で筆者好みだったりはする。M2の直6ツインターボも賑やかなノイズを放つものの、アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオのユニットほど、聴き応えがあるわけではないからだ。

音響的には、ライバルのポルシェ718ケイマン GTS 4.0や、ロータスエミーラ V6へ届いてはいない。とはいえ、レスポンシブな多気筒エンジンとMTとの組み合わせは、今では極めてレア。英国では8速ATより価格は高いものの、選ぶ価値は間違いなくある。

BMW M2 マニュアル(英国仕様)
BMW M2 マニュアル(英国仕様)

シフトフィールは、BMWへ期待するとおり。ショートストロークで、正確にゲートを選べる。若干、ゴムが挟まった感じもあるけれど。

今回のアップデートでは、シャシーにも手が加えられたと考えられる。広報資料では特に言及されていないものの、従来と微妙に印象が異なることは明らか。同僚とも意見は一致している。

サスペンションは、僅かに引き締められた様子。それでも、減衰特性は充分に練られており、路面への追従性が薄れた感じはまったくない。安定性が高く、乗り心地は快適と表現できる。

フロントノーズの反応は、少し機敏になった。旋回時は、アクセルペダルの塩梅で、リアタイヤのスタンスを調整しやすくなっている。479psを発揮する後輪駆動のスポーツカーとして、理想へ更に近づいた。

トラクションとスタビリティのコントロールは、極めて優秀。Mダイナミック・モードを選べば、絶妙なバランスで楽しませてくれる。

アップデートを経て一層増したG87の輝き

M2が位置する市場の競争は、まだ充分に熱い。その中で、アップデート後のM2は、相当に魅力的な1択だといっていい。

ミドシップの718ケイマンやエミーラは、純粋で刺激的な運転体験を享受できるが、実用性で敵わない。メルセデスAMG CLE 53やフォードマスタング GTも楽しいクーペだが、だいぶ大きく、シャープな操縦性では届いていない。

BMW M2 マニュアル(英国仕様)
BMW M2 マニュアル(英国仕様)

最大のライバル、F87型の残光は徐々に薄くなっている。アップデートを経て、G87型の輝きが一層増していることは間違いない。

◯:若干デチューンされていても、優秀なS58型エンジン 没入感を生むロングレシオのMT 快適性と敏捷性を両立したシャシー
△:内装の品質や使い勝手が以前のBMWに及ばない 好き嫌いが分かれる改造車風の見た目

BMW M2 マニュアル(英国仕様)のスペック

英国価格:6万4613ポンド(約1260万円)
全長:4580mm
全幅:1887mm
全高:1403mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:229g/km
車両重量:1705kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:479ps/6250rpm
最大トルク:56.0kg-m/2650-6130rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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