有能ワゴンのアンバサダー アウディA6 アバント・クワトロへ試乗 推しは2.0LディーゼルHV

公開 : 2025.04.28 19:05

2.0LディーゼルHVが推し エアサスを組みたい

英国にはV6エンジンのA6 アバントは導入予定がなく、英国編集部が選びたいのは2.0Lディーゼルターボ・ハイブリッド。低域からトルクフルで、電気アシストが加わり、走りはS6並みに軽快。燃費も良い。

他方、アウディは英国のA6の大多数が2.0Lガソリンターボになると予想する。最高出力は203psと悪くないが、トルクは不足気味。少し活発な速度上昇を求めると、大きめのノイズが響いてくる。ハイブリッドが欲しいと、感じるかもしれない。

アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)

こちらは、トランスミッションのスムーズさもやや霞む。高速道路の巡航で10.5km/L程度と、さほど好燃費でもない。

サスペンションは、予算が許すならエアスプリングを指定したい。アスファルトの不整をなだめつつ、引き締まった姿勢制御を叶えている。

標準のスチールコイルは、やや印象が劣る。コンフォート・モードでは凹凸の目立つ路面で浮遊感が伴い、隆起などの入力を吸収しきれていなかった。スポーツ・モードでは多少安定するが、上級ステーションワゴンへ期待通りの快適性とはいえないだろう。

コーナリングのバランスは良好。ステアリングホイールには適度な重み付けがあり、旋回時の充足感に優れる。フロントが軽い2.0Lガソリンターボは、旋回初期の反応が機敏。四輪駆動を選ぶと、意欲的に加速していく感覚が気持ちいい。

操縦性は褒められる。強力なエンジンを積む、S6やRS6への期待が高まる。

正しい選択で有能なステーションワゴンに

価格設定は、英国ではライバルと横並び。主力になるであろうガソリンターボのA6 Sラインは、BMW 520i Mスポーツや、メルセデス・ベンツE 200 AMGラインと同等のお値段となる。

大幅にスタイリッシュになった、C9世代のA6 アバント。エンジンやサスペンション次第で走りの印象に幅が大きいものの、正しい選択をすれば、運転しやすく実用的で、経済性にも優れた、有能なステーションワゴンを我が物にできる。

アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)
アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)

スウェーデンにも、ステーションワゴンのアンバサダーとして派遣してはどうだろう。廃止を検討するボルボも、考えを改めてくれるかもしれない。

◯:精悍なスタイリング 悪くない実用性 正解のスペックを選べば走りが良い
△:もう少し特別感が欲しい内装 非ハイブリッドのガソリンエンジンはやや非力 トリムグレードやオプションに悩む

アウディA6 アバント TDIクワトロ Sライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万9580ポンド(約1162万円)
全長:4928mm
全幅:1923mm
全高:1527mm
最高速度:238km/h
0-100km/h加速:7.0秒
燃費:17.2km/L
CO2排出量:153g/km
車両重量:2000kg
パワートレイン:直列4気筒1968cc ターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/3800-4200rpm
最大トルク:40.7kg-m/1750-3250rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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