サーブ博物館(Saab Car Museum) マニア必見の展示車両 20選 知られざる宝物たち

公開 : 2025.04.19 18:45

モンストレット(1959年)

サーブは開発プロセスにおいて、レギュレーションを完全に無視していた。この狂気じみたプロトタイプをスターティンググリッドに並べさせてくれるレースシリーズは見つからなかったため、ツインエンジンの93がレースに出場することはなかった。しかし、サーブの勇敢なテストドライバーたちに強烈な印象を残したに違いない。なぜなら、スウェーデン語で「モンスター」を意味する『モンストレット(Monstret)』という愛称が付けられたからだ。

モンストレット(1959年)
モンストレット(1959年)

ソネットII(1966年)

サーブは1966年に初のクーペ『ソネットII』を発表した。エンジニアたちは、10年前に初代ソネットを開発したときとほぼ同じ手法を採用した。既存のシャシーに高性能エンジンを搭載し、その上にプラスチック製のボディを載せたのだ。

初期のソネットIIには、モンテカルロ850から流用した最高出力60psの2ストローク3気筒エンジンが搭載されていた。サーブはこの仕様で258台を製造し、1967年に3気筒からV4エンジンに切り替えた。

ソネットII(1966年)
ソネットII(1966年)

99エレクトリック・バン(1976年)

1976年、自動車業界で「電動化」という言葉がマーケティングの流行語となる何十年も前に、サーブは質素な『99』を、スウェーデンの郵便局向けのバッテリー駆動式配達バンに変身させた。バッテリーはキャビンの下に取り付けられており、専用のカートを使用すれば、メンテナンスのために取り外すことも可能であった。サーブは徹底的にテストしたが、量産化の計画を進めることはなかった。

99エレクトリック・バン(1976年)
99エレクトリック・バン(1976年)

99ターボ(1977年)

『99ターボ』は、高性能車メーカーとしてのサーブのイメージを確立する上で重要な役割を果たした。過給機によって従来の2.0L 4気筒エンジンから145psを引き出しており、これは1970年代においては驚異的な数値であった。また、サーブは地政学的な優位性も手に入れていた。大西洋の両岸で燃料価格の高騰が起こり、パフォーマンスと燃費効率を両立するクルマへの需要がかつてないほど高まっていた時代に、この99ターボを発表したのである。

1977年のフランクフルト・モーターショーで、サーブはこの写真の車両を展示した。ホワイトパールのラッカー塗装が施され、内装にはツートンブラウンのレザーが張られている。いずれも、通常の量産車には採用されなかったオプションである。

99ターボ(1977年)
99ターボ(1977年)

900 GLE(1979年)

1978年、99は大幅な成長を遂げ、サーブで最も人気のあるモデルの1つである『900』へと進化した。エンジンルームのスペースを広げるためにフロント部分を伸ばし、またホイールベースを延長して車内空間を拡大している。しかし、これは物語の始まりに過ぎない。その後、サーブはラインナップを拡大し、コンバーチブルを含む複数のボディスタイルを追加した。さらに、SPGやエアロなど、性能を大きく向上させたモデルも登場している。

1978年から1993年の間に、サーブは900シリーズを90万8817台製造した。写真の米国仕様車はシャシーナンバー17番である。サーブのアーカイブ部門によると、スウェーデンの田舎の納屋にさらに古い個体が保管されているというのでなければ、これが現存する最古の900であるという。

900 GLE(1979年)
900 GLE(1979年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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