サーブ博物館(Saab Car Museum) マニア必見の展示車両 20選 知られざる宝物たち

公開 : 2025.04.19 18:45

96 V4(1980年)

1980年1月8日、最後の『96』(写真)が出荷され、その長い歴史に幕が下ろされた。このモデルは、1950年に発表されたサーブ初の乗用車、92にルーツをたどることができるが、ほぼすべての点でモダンなものとなっている。サーブは、92、93、96の3車種を30年という異例の長期にわたって製造し、その総出荷台数は73万607台に上った。

96 V4(1980年)
96 V4(1980年)

900サファリ(1981年)

1980年代初頭、人や荷物を収納する広いスペースを求める顧客に対して、サーブは900の4ドア・ハッチバックモデルを提案した。しかし、ライバルであるボルボメルセデス・ベンツBMWが好調なステーションワゴンセグメントに参入する動きを見せる中、サーブは興味を示さなかったため、スウェーデンのコーチビルダーであるニルソン(Nilsson)が代わりにその空白を埋めることになった。

(次項に続く)

900サファリ(1981年)
900サファリ(1981年)

900サファリ(1981年)

ニルソンは900のルーフパネルを延長し、寝かせたDピラーを追加することで、まとまりのある均整のとれたデザインの『サファリ』を完成させた。箱形のボルボ245よりもずっとスポーティな外観であった。ごく少数が製造され、サーブ博物館に展示されているのは1981年製の新車同様の車両だ。サーブは1998年に9-5スポーツコンビを発表し、ようやくステーションワゴンに参入した。

900サファリ(1981年)
900サファリ(1981年)

900カブリオレ(1983年)

サーブは、1980年代初頭に『900カブリオレ』の開発を始めた際、2つの選択肢を検討したという。1つ目は、900ハッチバックをベースにタルガ風のルーフを装備したもの。もう1つは、アメリカン・サンルーフ社(American Sunroof Company)が設計した、格納式布製ソフトトップを備えたフルコンバーチブルだった。サーブは後者の案を採用し、1983年のフランクフルト・モーターショーでプロトタイプ(写真)として発表した。

900カブリオレ(1983年)
900カブリオレ(1983年)

EV-1(1985年)

1985年に発表された『EV-1』は、未来のスポーツカーのあり方を模索する最高出力285psのコンセプトモデルだった。サーブは、当時としては画期的な炭素繊維複合素材を使用することで、重量を抑えた。着色ガラスのキャビンと、非常に空力特性に優れたシルエットが特徴的だ。ルーフに埋め込まれたソーラーパネルにより、アリゾナの炎天下で何時間も駐車していても車内を涼しく保てるよう、エアコンシステムを稼働することができた。

サーブは、技術デモンストレーターとして900ターボのシャシーをベースにEV-1を組み立てたが、ラインナップに追加することは真剣に検討しなかった。

EV-1(1985年)
EV-1(1985年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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