サーブ博物館(Saab Car Museum) マニア必見の展示車両 20選 知られざる宝物たち
公開 : 2025.04.19 18:45
9-7X(2004年)
サーブはSUVブームに乗るために、2004年のニューヨーク・モーターショーで『9-7X』を発表した。確かにグリフィンのエンブレムが付いていたものの、誰もだまされることはなかった。ひと目見ただけで、ビュイック・レイニア、シボレー・トレイルブレイザー、GMCエンヴォイ、いすゞ・アセンダー、オールズモビル・ブラバダ、そしてシボレーSSRと同じGMT360プラットフォームを採用していることは明らかであった。
サーブは9-7Xで、驚くほどの先見性を見せている。スポーティグレードの『エアロ』に、最高出力390psの6.0L V8エンジンを搭載したのだ。このエンジンは、シボレー・トレイルブレイザーSS、ポンティアックGTO、シボレー・コルベットでも使用されている。しかし、 大不況のさなか、大型SUVに大排気量のアメリカンV8エンジンを搭載することは、月面にチポトレのフランチャイズ店をオープンするようなもので、生産的とは言えない。9-7Xはサーブの業績を好転させることができず、2009年モデルを最後に製造終了となった。

9-5(2010年)
サーブは過去の失敗から学び、第2世代の『9-5』の競争力を高めるために多大な努力を傾けた。オペル/ヴォグゾールのインシグニアとプラットフォームや多くの機械部品を共有しつつも、ブランド独自のデザインを採用した。ヘッドアップディスプレイ、アダプティブクルーズコントロール、交通標識認識などの機能を導入することで、より高級なモデルへと仕上げている。
9-5は2010年6月に発売され、1万1280台を売り上げた後、2011年3月に販売終了となった。

9-4X(2010年)
サーブは2010年のロサンゼルス・モーターショーで『9-4X』を発表した。キャデラックSRXとプラットフォームを共有しているが、賢明にも、露骨なバッジエンジニアリングをうまく避けた。9-4Xは、活況を呈する米国の新車市場に投入されたものの、ブランドの崩壊を救うには遅すぎた。サーブが破産申請を行うまでに、ゼネラルモーターズのメキシコ・ラモス・アリスペ工場で生産されたのはわずか814台だった。

9-3インディペンデンス・エディション(2011年)
オランダに拠点を置くスパイカーは、GMからの独立1周年を祝うため、9-3カブリオレの限定仕様車『インディペンデンス・エディション』を発表した。製造は1日つきに1台ずつ、そして2年目の始まりを記念してもう1台だけ追加され、合計366台が出荷された。スパイカーによると、専用設計のアルミホイールを履き、ボディカラーはオランダ国旗への敬意を表して選ばれたものだという。
9-3インディペンデンス・エディションは、2011年2月23日にデビューした。サーブが破産を申請したのは2011年12月19日である。

9-3レトロターボ(2017年)
サーブの現在のオーナーであるナショナル・エレクトリック・ビークルズ・スウェーデン(NEVS)は、99ターボの40周年を祝うために、2017年にワンオフの『9-3レトロターボ』を製作した。最高出力260psの4気筒ターボエンジンを搭載し、レトロなバッジと象徴的なインカのアルミホイールデザインを採用している。しかし、NEVSは、この9-3は量産化されないと繰り返し述べており、いずれにしても、NEVS自体も2024年に閉鎖された。
サーブ博物館(Saab Car Museum)の詳細については、同館のウェブサイトをご覧ください。
