ジープ新型『コンパス』発表 デザイン一新、全長4.5mへ大型化 航続距離650kmのEVモデルも導入

公開 : 2025.05.08 06:45

複数の電動パワートレインを設定

新型コンパスは、ジープとして初めてマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド(PHEV)、バッテリーEVの各種パワートレインを選択可能となる。カトーネ氏は、これにより「欧州のセグメント需要の90%に対応できる」と述べた。

内燃エンジン搭載モデルはいずれも前輪駆動だ。最高出力145psのマイルドハイブリッドモデルと、最高出力195psの1.6L PHEVモデルがある。後者は21kWhのバッテリーにより、エンジンを停止した状態で約85kmのEV走行が可能だ。

ジープ・コンパス
ジープ・コンパス    ジープ

バッテリーEVモデルは、フロントに213psの電気モーターを搭載し、73kWhバッテリーで500km、96kWhバッテリーで最大650kmの航続距離を実現する。

最上位モデルは、四輪駆動のコンパス4xeだ。リアアクスルに180psのモーターを追加することで合計出力は375psに達し、STLAミディアム採用車としては欧州で最もパワフルなモデルとなっている。

このリアモーターはジープ専用に開発されたもので、23.5kg-mのトルクを発生し、14:1の減速ギアを介して後輪に伝達される。これにより、後輪に最大330kg-mのトルクを伝達でき、コンパス4xeは前輪にトラクションがなくても傾斜度20%の坂を登ることができるという。

4xeではさらに、サスペンションを10mmリフトアップし、最低地上高を向上させ、27度のアプローチアングル、16度のブレークオーバーアングル、31度のディパーチャーアングルを実現している。

発売記念モデルのコンパス・ファースト・エディションの英国価格は、マイルドハイブリッドモデルが3万5700ポンド(約680万円)から、EVモデルが3万9200ポンド(約750万円)からとなっている。PHEVモデルの価格は後日発表される。

Q&A:ステランティスのチーフデザインオフィサー、ラルフ・ギレス氏

――モジュール式でオンロード重視のグループ共有部品をジープのニーズに適合させるのは難しい?

「幸いなことに、ステランティスにとってジープがどれほど重要か、皆が理解しており、アーキテクチャーにはかなりの自由度があります。可能な限り大きなホイールを採用し、オーバーハングを若干減らすなど、わたし達は多くの交渉を重ねました。そのため、その能力はあらかじめ見込んでいました。このプラットフォームは、今後の複数の製品で確実に活用することができます」

ステランティスのデザインを統括するラルフ・ギレス氏
ステランティスのデザインを統括するラルフ・ギレス氏

――他のブランドが実用性を重視したデザインを売り出す中、ジープは独自のセールスポイントを失ったと感じるか?

「結局のところは『There’s only one(唯一無二)』、わたし達のキャッチフレーズですが、本当にそう信じています。ジープであれば、顧客がまさに求めるものを提供できるという自信があります。適切なイメージと適切な堅牢性を両立させる『スイートスポット』を見つけたのです」

――ジープには80年の歴史がある。誰もがレトロを追求する中、デザインでその歴史をもっと活かせばいいのでは?

「それは既にやり尽くされています。わたし達がやる必要はありません。むしろ、今の方向性には誇りを持っています。より未来志向でタイムレスです。デザインは現代的ですが、控えめな美しさがあり、それが長く愛され、魅力を広げる要因になっていると思います」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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