【第8回】森口将之の『もびり亭』にようこそ:スカイライナーに乗っていちご狩りへ

公開 : 2025.05.14 17:05

モビリティジャーナリストの森口将之が、モビリティの今と未来を語るこのブログ。第8回は、渋滞が予測される時期に遠出する際の選択肢『レール&カーシェア』について、具体例を含めて紹介します。

混雑時の最適解は『レール&カーシェア』

大型連休を使ってお出かけしたという人も多いでしょう。渋滞に長い時間はまって大変だったというドライバーもいると思います。では渋滞を避けつつ、クルマで目的地に行く方法はあるのでしょうか?

あります! 僕が何度も使っている『レール&カーシェア』がそれです。

今回、カーシェアでトヨタ・シエンタを利用。いろいろなモデルを試せるのもカーシェアの魅力。
今回、カーシェアでトヨタシエンタを利用。いろいろなモデルを試せるのもカーシェアの魅力。
    森口将之

僕は以前から、大型連休を含めた遠出のとき、多くの人がクルマにするか公共交通にするかという二者択一になることが気になっていました。

クルマにはドアtoドアの魅力があります。自宅から目的地まで乗り換えなしでダイレクトに行けることは、移動するうえで外せない長所です。しかし渋滞になれば、通常1時間で済む距離に2〜3時間も要してしまうことがあります。

鉄道はその逆で、とくに日本のそれは定時性では最高レベルですが、自宅から目的地まで鉄道だけで直接行けることはほとんどありません。多くの場合、自転車やバスなどの二次交通が必要になるでしょう。

だったらそれぞれの長所を発揮できるパートを切り取って組み合わせればいいのです。北海道旅行のとき、飛行機とレンタカーを組み合わせる人は多いでしょう。あれをスケールダウンしたような感じです。

レンタカーではなくカーシェアリングを選ぶのは、15分単位で借りる時間が設定できること、借り出しも返却も無人なので対人による時間のロスがないこと、返却時の給油が不要であることなど、せいぜい2〜3時間の移動には最適だからです。

ちなみに自宅側は、東京23区内で公共交通に恵まれているためもありますが、最寄駅から徒歩5分ぐらいなので、移動手段を考える必要はありません。

クルマが好きだからこそ、クルマに乗らない理由

もちろん僕もクルマ好きのひとりなので、自分が好きで選んだ愛車で移動したいという気持ちはあります。でもドライブが気持ちいいのは、クルマがスムーズに流れているときだけではないでしょうか。

それに、たとえ日本車の新車でも、長時間のノロノロ運転は、エンジンやトランスミッションに負担を掛けていることは確実です。趣味的なクルマを所有している人なら、自分だけでなく愛車にも辛い思いをさせたくないと思うはず。

速さ、快適性、時間の確実さは日本の鉄道の魅力。写真は京成電鉄の特急スカイライナー。
速さ、快適性、時間の確実さは日本の鉄道の魅力。写真は京成電鉄の特急スカイライナー。
    森口将之

しかも最近は渋滞予測がきめ細かくなってきて、大型連休のときなどは、渋滞箇所や距離が事前にある程度分かっています。なんでそこに、わざわざ突っ込んでいかなきゃいけないの? と思うのです。

赤ちゃんやお年寄りがいる家はクルマがないと難しいかもしれません。でも我が家はそうではないので、そういう家族のために道路を少しでも空けたほうがいいという気持ちもあります。

カーシェアの事業者はいくつかありますが、僕が使っているのはコインパーキングでおなじみのパーク24が運営する『タイムズカー』です。理由はステーション数、車両台数ともに約8割という圧倒的なシェアで、地方にもステーションが豊富にあるうえに、駐車場運営が本業なので、駅の近くのステーションが多いことです。

ちなみに冒頭で使ったレール&カーシェアという言葉は、タイムズカーが使い始めた公共交通との連携サービスのフレーズを拝借したものです。現在はいくつかの交通系ICカードとの連携で、運賃の割引を実施したりしています。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

森口将之の「もびり亭」にようこその前後関係

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